ケイちゃんマナちゃんPresents ケイコとマナブ.net オリジナル連載小説
「あなただけの花束を」 Vol.5
03/29 更新
作:真弓創
イラスト:shiz
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うやく、お前もちょっとはマシな企画が出せるようになったじゃないか」
「そうですか」
「どうした? 言っておくが、お世辞じゃないぞ」
響子の体を包んでいるネズミの雲は、なかなか晴れてくれなかった。私は彼のことを理解できているんだろうか? 私が好きな五代耕一は、本当の五代耕一なんだろうか? 私は、私って……。
うつろな表情の響子を見つめ、五代は小さく笑った。
「いい仕事ができたご褒美だ。今夜は、あの店に行こうか」
えっ?
響子だけではない。職場にいる全員が動きを止めて五代の方を向いた。
「ほら、俺たちが最初のデートで行ったところ。響子、パスタ好きだろ?」
秘密の職場恋愛、のはずだった。周囲ではすでにどよめきの声が広がりつつある。
開いた口をふさぐこともできず、響子は絶望的な気持ちになった。やっぱり自分は、彼のことをよく理解できていないみたい……。

人が初めてのデートで過ごしたレストランは、今夜も最高のディナーを用意してくれた。しかし響子に料理を味わう余裕はなかった。頭の中はクエスチョンマークでいっぱい。彼に対する自信も消えつつある。
食事のあと、駅へと続く海沿いの道を歩きながら、響子はおずおずと切り出した。
「どうして会社であんなこと言ったの?」
「んー……」
五代は穏やかな笑みを浮かべ、遠くへ視線を移した。それは伝えるべきことがすでにあって、それをかたちにする言葉を探している仕草だ。平日も休日もずっと一緒にいる響子には、それがわかる。
「響子っていろんな遊びを知ってたんだな。俺びっくりしたよ。お前のこと、まだまだわかってなかった」
「それは……それは、私も……」
「俺ね、休日の自分も好きなんだ。響子は嫌だったみたいだけど」
彼が立ち止まり、道をふさぐ。響子はまだ、五代と目を合わせることができなかった。
「まあ平日と違ってグータラしてるけど。休日の朝はすごく楽しい。家にいても、歩いているだけでも。花の色を見つめたり、コーヒーの味をゆっくり確かめたり、近所の子供の声に耳をすませているだけで幸せだ。そういう穏やかな毎日を楽しめる自分が大好きだし、小さな発見ができる日々を大切にしたい。グータラしてるようだけど、本当は宝石を探しているんだ。グータラは俺の趣味のひとつなんだ」イメージ
響子はぼんやりと目を上げ、五代と視線を交わした。やっぱりこの人はすごいんだ。大胆な行動力を持ちながら、繊細な感性を失わずにいられる。休日の五代があるからこそ、平日の五代が存在できているのだ。
「でも、響子のおかげでもっと楽しいことを見つけられた。人生、退屈しないようにできてるもんだな」
五代はおもむろにカバンを開き、小さくまとめられた、手作りらしき花束を差し出した。

ロポーズには自分が美しいと思えるものを。華道を始めたきっかけだ」
照れ笑いする五代につられ、とうとう響子もふき出した。とたんに、ネズミ色の雲が晴れていくのを感じた。
「華道って花束と関係あるの?」
「いや、実はあんまり関係ない……だからきっかけだよ、きっかけ! 心意気の問題なの!」
まだまだこの人のことはわからない。だから、もっと知りたい。いろんなところを連れまわし、新しい顔を見たい。そうやって過ごす毎日は、きっと楽しいに違いない。
どっちの手で花束を受け取ろうか? そんなことを考えながら、響子はゆっくりと彼に歩み寄っていった。

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例)英会話 渋谷
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「あなただけの花束を」
「オンナのバトル!」
04/05更新 Vol.1
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