ケイちゃんマナちゃんPresents ケイコとマナブ.net オリジナル連載小説
「花婿はカウボーイ」 Vol.1
05/03 更新
作:真弓創
イラスト:GM
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は澄み渡っていた。
同窓会にはうってつけの天気だな、と、今年でめでたく50歳を迎えた国語教師・村越源三郎は空を見上げて目元を細めた。会場は大人数がひしめきながら、どこか穏やかな雰囲気に包まれ、かつての教え子たちが充実した時間を過ごしてきたことを感じさせた。

「村越先生、お久しぶりです」
「お元気そうで何よりですわ」
意志の強そうなふたつの声に振り返る。この年度の卒業生の中ではとびきり優秀で、とびきり仲が悪いことで有名だった、宮野アオイと宗方ミドリだ。
「私のこと覚えてますか?」
美少女から美女へと見事にステップアップした、宮野アオイが艶やかに微笑む。
「ああ、君たちは有名人だったからね」
君たち、という言葉に反応したのだろう、アオイはミドリと顔を見合わせると、なんでこいつとセットなんだ、と不満げに、しかしどこか嬉しそうな笑みを浮かべた。これぞまさに『微苦笑』というやつだな。こんなに微妙な顔を表現できるなんて、やはり日本語は偉大だ。
ひとりで満足感に浸っていた村越を、アオイの一言が引き戻した。
「そういえばお嬢さんも私たちと同い年ですよね。もしかして、もうお孫さんがいたりするんじゃないんですか?」
「はぁっ!?」
大声を挙げた村越に、アオイとミドリが硬直した。

「失礼。娘は……マナミは、君たちと違ってまだまだ子供でね。孫どころか、その、結婚なんてまだまだまだまだ先の話だ」
「は、はぁ。でも、それは親の願望かもしれませんよ? ひょっとしたら、明日にでも恋人を家に連れてくるかも……」
「そうかもしれんねぇ。あはは」
村越は動揺を隠そうと、つとめて朗らかな笑みを浮かべた。微苦笑も苦笑も通り越した、不愉快そうな表情に、アオイもミドリもひきつった顔であいづちを打つしかなかった。
これが、ほんの数日前の村越である。

「お茶ですよ」
和室でふんぞりかえっている村越に、妻のヨシコが緑茶を差し出す。村越が湯飲みを受け取ると、盆を抱えたまま横に座った。
「……お嬢さんと結婚させてください、って言われるんだろうなぁ」
「ええ。たぶん」
「ダメって言ったらどうなるかな」
「ダメですよ。マナミの選んだ人なんですから」

越は落ちつきなく肩をゆらしている。
イメージ 「立派な日本男児だといいんだが……」
「お父さんの好みは関係ないでしょ。マナミを幸せにしてくれるかどうか、それだけじゃないですか?」
「……お前、今はぐらかしたな。マナミから相手がどんな奴か、聞いてるんじゃないのか?」
「あら、なんのことかしら」

のとき、玄関の呼び鈴が鳴った。立ち上がり、出迎えるヨシコの背中を見つめ、村越も観念した。せいぜい、しかめ面で未来の息子を脅かしてやるとするか。

「ハジメマシテ」
「…………」
「お父さん、この人はムスコーさん。私の大切な人なの」
娘が連れてきたのは、カウボーイルックに身を包んだ、金髪の青い目の外国人だった。
脳裏でマナミの成長記録が走馬灯のように駆け巡り、目の前の光景が重なった瞬間、村越は気絶した。

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「あなただけの花束を」
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「花婿はカウボーイ」
05/03更新 Vol.1
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