- TOP
- ケイコとマナブnetオリジナル連載小説
- 「花婿はカウボーイ」 Vol.4
![]() 「花婿はカウボーイ」 Vol.4
05/24 更新
作:真弓創
イラスト:GM
|
![]() |
|
家に戻ると、玄関でヨシコがマナミを羽交い絞めにしていた。 そして、数ヵ月後。 「あっという間に、この日が来ちゃいましたねぇ」 結婚式会場に到着すると、すでに来ていたムスコーの家族が近寄ってきた。皆、整った礼服に身を包んでいる。すでに結納などで顔を合わせているが、カウボーイ趣味なのがムスコーひとりだったことを知ったときは、心から安堵したものだ。やはりスーツは、日本人よりも外国人の体型の方が似合うな。そう思い、気後れしている自分に気づくと、村越は背筋を正した。 「Welcome」 短いあいさつを交わす。ヨシコと通った英会話教室は思わぬところで役立った。ムスコーの父親には英語が通じるのだった。ロシア語もおいおい覚えていかねばならないのだが、この数ヵ月は優先して準備しなければならないことが多すぎた。それは向こうも同じかそれ以上だっただろう。はるか遠方から飛行機でやってきたムスコーの家族たちは、村越がロシアに抱いているイメージそのままに固い表情をしていた。しかしそれも、急な予定で見知らぬ国に来た疲労によるものが大きいのだろう。村越がにこやかに握手を求めると、顔をほころばせて強く握り返してきた。 おたがいの親族だけでおこなわれた結婚式は、人数もそれなりにまとまっており、つつがなく進んだ。新郎新婦の希望で日本式の挙式になったこともあり、村越も余分なストレスをためることなく、娘の晴れ姿に素直に感激し、涙することができた。ムスコーも今日ばかりはカウボーイルックではなく、はかま姿だ。外国人にしてはなで肩のせいか、実に似合っているように、村越には思えた。 「ほら泣いた」と、なぜか満足げなヨシコをよそに、数人に分けてタクシーに乗り込み、新郎新婦の友人たちが待つ披露宴会場へ向かう。村越もタクシーを呼びとめたのだが、ヨシコはすっかりムスコーの母親と意気投合しており、どうやら一緒のタクシーに乗っていくようだ。周囲を見回すと、ムスコーの父親がぽつんと立っていた。ここはひとつ、父親同士で国際交流といくか。村越はムスコーの父親を手招きし、タクシーに行き先を告げた。
車内は静かだった。運転手は黙々とハンドルを繰り、ムスコーの父親も街の流れに目をうつろわせていた。村越も切り口上を選んでいるうち、なんとなく億劫になってしまい、無言で料金メーターに目を落としていた。 その言葉に皮肉めいた響きをとらえ、村越は眉を上げた。 レッスンを検索してみよう!
半角スペースを入れてキーワードを追加すると絞り込むことができます。 例)英会話 渋谷
|
|
||||
![]() |





