ケイちゃんマナちゃんPresents ケイコとマナブ.net オリジナル連載小説
「夕陽の写真」 Vol.3
08/16 更新
作:鋳一雰士
イラスト:shiz
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14年前のあの日。
少年は死んだ妹の顔と、空を交互に見つめていた。
妹が目を覚まして、目の前に広がる風景に喜んでくれればいいと、夢を見たからだ。

れまで兄妹は、当時にも珍しいくらいの恵まれない境遇に耐えてきた。
物心つくころ、すでに兄妹に親はなく、彼らと同じような子供を集める場所で育てられた。

こで兄妹は、なぜか他の子供にとけ込めなかった。
おとなしすぎたからかもしれないし、初めから味方がいる子に、他の子供が敵意を持ったからかもしれない。
いずれにせよ、そこは小さな兄妹が快適に生きていくには厳しい場所だった。

んな状況だったからこそ、兄妹は徹底的に協力しあって生きてきた。
はげましあい、よりそいあい、助けあってきた。
しかし何年か経って妹が、足もとがフラつくと言いだした。

院した妹を、少年は毎日見舞った。
医者に何かできることはないかと問いつめると、できることはないと答えた。
彼にも、医者にも、誰にも妹を救えないと。
結果、少年はそれまで以上に、妹と接するようになった。

方妹は、自分が死んでしまうことを、本能的に理解しているようだった。
ある段階まではおびえ、その次は努めて明るく振る舞い、次によく泣くようになり、最後には身体中をかきむしって苦しみだした。

んなある日、少しだけ身体が軽い夏の朝。
妹が夕陽を見たいとつぶやいた。
兄妹は、ほんの数瞬だけ目を合わせて、病院を抜け出す覚悟を決めた。

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かし妹の命は間に合わなかった。
少年は妹が死んだのを知っていたが、丘をのぼりきった。
それは誰もやさしくしてくれない世の中に対する意地のようなものだったし、また妹に夕陽を見せるといった約束を、どんな形でも果たすための行動だった。

がて夕方がやってきて、少年は使い捨てカメラをかまえる。
死体と夕陽と自分が写った写真だ。

こに得体の知れない老人が現われた。
その老人の顔は、影になっているわけでもないのに、目も鼻も口もなかった。
少年は
「こいつが幽霊ってやつか」
と思った。

のない老人は、少年に
「そちらのお嬢さんは死んでいるのかね?」
とたずねた。
少年が黙って首を縦に振ると
「大切な人なのかね?」
と聞いてくる。
大きなお世話だと思った。

かし老人の次の言葉を聞いて、少年は息を呑んだ。
「生き返らせたくはないかい?」
「そんなこと! できるんですか!」
「もちろん、高い代償が必要になるんだけどね」
顔のない老人なのに、ニヤリと笑っているように見えた。

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