先輩たちがあなたの素朴な疑問に答えます「社会人学生のホンネ」CAFE

今月のテーマ「履修科目の選び方」

学ぶことで人生変わる?お金はどのくらいかかる?仕事との両立って実際どうなの?どんな人と知り合える?などなど、大学院に通おうと思っている社会人の皆さんはいろんな疑問や不安を抱えているはず。そんなときは、経験者に聞くのがイチバン!そこで社会人学生の先輩たちに素朴な質問を投げかけてみた。先輩たちの生の声を是非参考にしてみよう。

回答してくれる先輩たち

グロービス経営大学院 GMBA2007期生 小葉松知行さん(29歳)人間総合科学大学大学院人間総合科学研究科 心身健康科学専攻(通信制) 浅野貴之さん(39歳)


Q1.科目登録の際、年次、期(セメスター)ごとの配分は意識した?

浅野さん :
2年次は修士論文のための研究をメインに据えていきたいので、1年目に可能な限りの単位(必修2科目、選択3科目)を取りました。また1年目の前・後期の配分に関しても、仕事との兼ね合いを考えましたね。私は専門学校で鍼灸師の資格試験対策の指導をしている関係で、試験が近づく次期、特に11〜12月は忙しくなります。ですから、自宅学習の科目は前期にまとめて取り、後期はスクーリング科目のみにしました。スクーリング科目は週末に3日間集中で履修できるので、日々の学習の負担は少ないですから。ただし、前期は自宅学習科目のレポートの締め切りがすべて同じ日なので大変でしたよ(苦笑)
小葉松さん:
修了には36単位以上が必要ですが、仕事と両立させながら、できるだけ多くの科目を学びたかったので、1期(3ヵ月)に原則2科目のペースで3.5年間かけて学ぶプランを立てています。どの科目をいつ履修するかについては、基礎/コア⇒応用⇒展開への流れに沿うことを意識しましたね。それに基づいて卒業までの履修計画を立てました。これをベースとしながら、その時々の職務内容や伸ばしたいスキル分野の状況などに合わせて、計画を組み直すようにしています。

Q2.履修科目を選ぶ際、重視したことは?

小葉松さん:
自分のキャリアプランとの整合性を軸に考えました。入学した当時も履修プランを作成しましたが、自らのキャリアプランが明確になってからの方がより整合性の高い計画になったと感じています。また、クラスの充実には、講師・クラスメイトというのも大切な要件ですので、先輩にオススメのクラスや講師の情報を聞いたり、目標にしたいクラスメイトが来期何をとるかという情報を聴いて、合わせたりしたこともあります。グロービス経営大学院の授業はディスカッション中心ですから、「誰と学ぶか」ということもとても重要になるのです。
浅野さん :
選択科目に関しては、興味がある科目はいくつもあったのですが、1年次に3科目までしか登録できません。そこで、修士論文の研究テーマに関連している科目を先に履修しておこうと考えました。その時点では、自分が専門としている鍼治療に関して、鍼による刺激に生体がどう反応するかというのが研究テーマ。ですから、脳の働きに関する科目を2科目、さらに、刺激に対して体がどう反応するかを臨床で学べるスクーリング科目を1科目選びました。

Q3.科目登録の際、誰かのアドバイスは受けた?

小葉松さん:
入学時に大学院側から事前推奨科目の提示や履修に関するアドバイスを受けて、最初は1期に2科目を履修し3年で修了するプランを考えていたんです。ただ、その後で大学院の先輩たちから話を聞いて、一期一科目集中で受ける価値のあるスゴいクラスの存在を知り、計画を変更しました。例えば、「経営戦略II〜Innovative Strategy〜」や「ベンチャー戦略」など「徹底的にやり込む価値のある科目だよ」と勧められた科目に関してはアドバイス通りに受講する予定を立てています。
浅野さん :
1学年上の先輩が知り合いだったので、科目の内容等についてアドバイスは受けました。それで雰囲気がつかめたところはありますね。また、科目登録前のオリエンテーションで教授から各科目に関する説明を受けて、概要をつかみました。後は、それらの情報を自分のやりたいことと照らし合わせて、最終的にはもちろん自分で判断しましたよ。

Q4.とっておいてよかったと感じている科目は?

小葉松さん:
ヒト系の科目(リーダーシップ・人的資源管理・グローバルリーダー)やマーケティング等、いろいろありますが、やはり入口で受講する「クリティカルシンキング」ですね。「脳の筋トレ」といわれるように、徹底的に考え抜き、ロジックを積み重ねる作業を反復することで、ものごとを正しく理解する力と、相手に正しく伝える力を養うことができました。それは、あらゆる科目を履修していく上でのベースにもなりました。ディスカッションをする上で「言葉のレベル」や「イシュー(考えるべきこと)」を意識するということは非常に重要です。これは仕事の上でも非常に役立っており、会議でのファシリテーションの精度向上や、聴く力・伝える力の向上、などの成果が出ています。
浅野さん :
脳の働きに関する科目ですね。心や体について研究するのであれば、やはりその両方にかかわる「脳」の理解は非常に重要になりますから。1年次にとっておいてよかったと実感しています。

Q5.実際学んでみて「こうしておけばよかった」と思うことは?

浅野さん :
これはどの分野のどんな研究にもいえるかと思うんですが、調査をするにも実験をするにも、データを処理する際に「統計学」が必要になってくるんですよね。履修できる科目数に上限があるので取れなかったのですが、できれば1年次に学んでおきたかった科目ですね。
小葉松さん:
大きな後悔は二回あります。一つ目は、初めて単科で受講した「マーケティング」。ロジックの積み重ねを非常に重要視する講師の方で、発言時も「Answer First, Short/Simple/Straight」「“例えば”は不要!」を大前提に、とてもテンポの良いクラス運営をしてくれました。私は当時、クリティカル・シンキング未受講だったため、その大前提を満たす脳の構造ができていなかったこともあり、3ヵ月の間徹底して鍛え抜いていただいた思い出があります。もう一つは、2007年4月期に受講した「ファイナンス」。私はCFP®資格を保有していたので、自惚れから基礎クラスを受講せずにコアクラスに飛び込みました。結果、コーポレートファイナンスのロジックの積み上げが全くできず、勉強しても追いつかずで、大変辛い3ヵ月間となりました。この時は心優しいクラスメイトの皆さんとの勉強会が大変支えとなりました。やはり、「ファイナンス」や「アカウンティング」等のカネ系の科目は、専門分野として確立している領域なので、非専門の方は、相当入念な準備をしてから臨んだ方がいいでしょうね。私を反面教師にしていただければ幸いです(笑)

先輩プロフィール

小葉松知行さん(29歳)
グロービス経営大学院
GMBA2007期生
小葉松知行さん(29歳)

プロフィール

小樽商科大学商学部商学科卒業後、2000年に富士通入社。7年の移動通信営業を経て、08年1月に希望して事業再編プロジェクトへ。06年7月からグロービス経営大学院で単科受講をスタート。07年4月に同大学院に正式入学。

大学院に進学した理由

大学在学中から、経営学という普遍性のある分野でスキルアップしていきたいと考えており、MBAには関心を持っていたから。

進学してよかったこと・苦労したこと

よかったのは、ビジネススキルの向上と、自分の志について考えが深まったことにより、社内でのキャリアチェンジにつながったこと。苦労したのは時間と学費の捻出、自分の内面の追究。

浅野貴之さん(39歳)
人間総合科学大学大学院
人間総合科学研究科
心身健康科学専攻(通信制)
浅野貴之さん(39歳)

プロフィール

高校卒業後、会社員を経て鍼灸の専門学校に進学。鍼灸師の資格を取得。98年から早稲田医療専門学校東洋医療鍼灸学科の教員に。現在は学科長補佐。00年に通信制の人間総合科学大学に、07年に同大学大学院に進学。

大学院に進学した理由

鍼灸師、教員として働くなかで、また人間科学総合大学での学びを通して、「心と身体」のつながりに関心を高めたことが進学理由。

進学してよかったこと・苦労したこと

よかったのは教授陣のわかりやすい指導で苦手だった心理学に興味を持てるようになったこと。苦労しているのは勉強時間の確保。