理学療法士になるには

理学療法士とは、ケガや病気などで身体に障害のある方に対して運動療法や物理療法・徒手療法を用いて、基本動作の回復や日常生活を安心安全に過ごせるようにサポートする、医学的リハビリテーションにおけるプロフェッショナルをいいます。
これから理学療法士を目指す人のために、理学療法士になる方法をご紹介します。

理学療法士になるためには

理学療法士になるには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した学校で3年以上の履修を受け、理学療法士の国家試験に合格する必要があります。

学校には4年制大学、3年制短期大学、4年制または3年制の専門学校などがあり、それぞれの学校では以下のような専門分野を学べます。

  • 履修科目 例)
    ・解剖学
    ・生理学
    ・運動学
    ・病理学概論
    ・臨床心理学
    ・リハビリテーション医学

2017年に行われた第52回理学療法士国家試験では、受験者数は約1万3000人、合格者数は約1万2000人となっており、合格率は90.3%でした。

そのほか、理学療法士について、外国で養成校を卒業した方や免許取得をした人の場合、日本で厚生労働大臣の認定を受けることでゼロからのスタートを回避できるケースがあります。
具体的には、新たに学校へ入学しなくていい場合や、足りない単位のみを取得するだけでいい場合もあります。

理学療法士になるため年齢制限はない

理学療法士の資格をとるのに年齢制限は存在しません。
採用についても、就職先によっては一部年齢を制限されることもありますが、一般企業などにおいては年齢制限は行われていません。

とある専門学校の理学療法士を目指す人の割合を見てみると、社会人比率は全体の40%ほどというデータも出ており、30歳以上の人も全体の13%存在している学校も存在します。

理学療法士を目指せる専門学校の学費

理学療法士を目指せる専門学校や大学の学費の一例を紹介します。

  • 【某4年制大学の理学療法学科の場合】
    入学金:28万2000円
    授業料:52万800円
    年間学費:52万800円
  • 【某3年制短期大学のリハビリテーション学科の理学療法学専攻の場合】
    入学金:25万円
    授業料:80万円
    その他施設利用料や教材費:65万円
    年間学費:145万円
  • 【某4年制専門学校の理学療法学科1部の場合】
    入学金:50万円
    授業料:80万円
    その他施設利用料や教材費:60万円
    年間学費:140万円

理学療法士を目指すには3年制もしくは4年制の養成学校で知識を学ぶ必要がありますが、選ぶ学校によって学費に大きく差があります。専門学校では夜間部がある学校もあり、昼は仕事、夜は学校とで両立しながら通うことも可能です。
費用面はもちろん、学校の設備やカリキュラムを比較しながら、自身が通いやすい学校を選ぶことが重要です。

理学療法士に向いている人・適性

以下のような適性を持っている人であれば、理学療法士に向いているといえるでしょう。

  • 理学療法士に向いている人・適性 例)
    ・医療の発展にともなって知識や技術を学び続けられる向上心がある
    ・人に合わせた行動、判断、応用ができる
    ・人への思いやりがある
    ・健康管理能力と健康な心身

理学療法士は患者さんが抱える問題に対して適切なリハビリテーションを提供する仕事です。患者さんの性格や身体の状態はひとりひとり異なるため、患者さんに合わせた言動や判断が必要とされ、ときには知識や技術を応用した接し方も必要となるでしょう。

また、ケガや病気などにより心に不安を抱えている患者さんへは、身体面でのサポートだけでなく心身を思いやれる考えが求められます。

そのほか、患者さんの身体を支え、適切な力を加えるだけの体力、自身の健康管理も欠かせません。自身の健康があってこその仕事ということを理解する必要があります。

理学療法士業界の現状について

理学療法士は、高齢化社会の進行にともなう介護需要の増加によってニーズが高まっています。また、スポーツ現場での需要が高いことでトレーナーとして活躍する理学療法士もいます。

そのほか、介護相談の窓口となる地域包括支援センターにも理学療法士が在籍するケースもあり、前述の高齢化によるニーズによって、今後も理学療法士の需要が一層高まることが予想されています。

社会の流れや必要とされる分野の広まりから、理学療法士が活躍する場所は将来的に拡大されていくといえるのではないでしょうか。

理学療法士になる志望動機

理学療法士は、日常生活で欠かせない動作の回復や維持をサポートしながら人と接する仕事です。

理学療法士を目指したきっかけとしては、自身が過去に負ったケガの経験や入通院中に受けたリハビリテーションの経験から興味を持ち始める人が多いようです。

また、人の役に立ちたいという思いのもと、理学療法士の道を歩むケースもあります。
このような志望動機から、理学療法士は自身の経験と人のために自分ができることを照らし合わせたときにマッチしやすい職業だといえるかもしれません。

理学療法士になると医療施設や福祉施設をはじめとして、幅広い分野でリハビリテーションを提供することができます。働く場所が豊富なため、身につけた技術を活かして自身に合った職場を見つけやすく、理学療法士として長いキャリアを積むことができます。

理学療法士の勤務先

理学療法士の主な勤務先の一例をご紹介します。

  • 理学療法士の勤務先 例)
    ・医療施設(病院・クリニック)
    ・介護施設(老人保健施設・通所リハビリテーションなど)
    ・在宅サービス(訪問リハビリテーションなど)
    ・行政サービス(市・区役所など)
    ・教育施設、研究施設
    ・健康管理、スポーツ事業

また、身体障害者療養施設、身体障害者福祉センターや児童福祉施設などの各種福祉施設でも、理学療法士が求められています。

幅広い場所でニーズが高まる理学療法士の人材教育には現役理学療法士が指導を担当する場合も多く、教えることを得意とする人などは教育施設や研究施設でも活躍できるでしょう。

そのほか、プロスポーツチームに所属して身体づくりや回復をサポートするトレーナーとして活躍することも可能です。

理学療法士のさまざまな雇用形態

理学療法士の雇用形態は、正社員、パート、契約社員が多く、求人によっては土曜日のみの勤務などといったパートタイム雇用を行っている職場も存在します。

正社員雇用で理学療法士として働く場合は月給制が多く採用され、福利厚生の待遇を受けやすいでしょう。

また、独立してフリーランスで働くという道も存在します。
その場合、営業活動などもすべて自分で行う必要がありますが、働く場所や働く時間を自分で自由に選べるというメリットもあります。

(監修者:理学療法士 / 井上直樹)

この仕事の著名人

小柳 磨毅さん

大阪電気通信大学(医療福祉工学部 理学療法学科)および大学院(医療福祉工学研究科 医療福祉工学専攻)の教授を務める小柳磨毅さんは、一般社団法人アスリートケアの代表という側面も持つ理学療法の専門家です。

1984年から2008年にかけて関西圏にある大学や専門学校で理学療法学を学び、スポーツ損傷へのリハビリテーションを中心に活動を行ってきました。
理学療法士として助手や講師を務めた経験は数知れず、1995年には読売新聞社 第45回 日本スポーツ賞(団体)、2012年、2016年には「運動器の10年」世界運動・普及啓発推進事業 奨励賞(団体アスリートケア)をそれぞれ受賞しています。

また、地域社会への貢献や国内外でのNPO活動を行うなど、活動の幅は国内外を問いません。

現在では教育活動、研究活動、各種講演を通じて未来の理学療法士への架け橋をつないでいます。