作業療法士になるには

これから作業療法士を目指す人のために、作業療法士になるための方法をご紹介します。作業療法士にはさまざまな就職先があるため、自分のキャリアプランを明確にしておくことが重要です。将来の希望に合わせた養成学校を選んで、理想の作業療法士を目指しましょう。

作業療法士になるための資格について

作業療法士になるには、作業療法士試験(国家試験)に合格する必要があります。
作業療法士試験の受験資格は3年制もしくは4年制の養成学校を卒業することで取得でき、養成学校には大きく分けて大学(作業療法に関連する学部)と専門学校があります。

一般社団法人日本作業療法士協会によると、2014年度の全国の養成学校数は182校、195課程だと言われています。
同じ作業療法士を目指すとしても学べる知識や環境は学校によって異なるため、自分の理想に合わせた養成学校を選ぶことが重要です。

また、海外で作業療法士の養成学校を卒業した人の場合は、厚生労働省が定める規定に沿って作業療法士国家試験の受験資格認定を受けることができます。

文系でも作業療法士を目指せる?

理系が苦手な人や福祉系の分野を専攻していない文系の人でも、作業療法士を目指すことは可能です。

なぜなら、作業療法士はリハビリテーションを通じて患者の文化的営みや社会活動をサポートすることがあるためです。

文化系学部で培った社会学、心理学、文化人類学などの知識と経験は、作業療法士として患者の心理状態を理解するためにも欠かせないでしょう。

作業療法士を目指せる専門学校の学費

作業療法士を目指せる専門学校やスクールの学費の一例を紹介します。

  • 【某4年制大学の作業療法学科の場合】
    入学金:34万円
    授業料:156万円
    その他施設利用料や教材費:2万3300円
    年間学費:158万3300円
  • 【某3年制専門学校の作業療法学科の場合】
    入学金:45万円
    授業料:80万円
    その他施設利用料や教材費:50万
    年間学費:130万円
  • 【某3年制専門学校の作業療法士科の場合】
    入学金:35万円
    授業料:98万円
    その他施設利用料や教材費:30万円
    年間学費:128万円

作業療法士は3年制もしくは4年制の養成学校を卒業することで国家試験の受験資格を取得できますが、3年制の専門学校なら20万~30万円ほど学費を抑えて勉強することができるようです。

作業療法士に向いている人・適性

以下のような適性を持っている人であれば、作業療法士に向いているといえるでしょう。

  • 作業療法士に向いている人・適性 例)
    ・柔軟な発想力と観察力がある
    ・思いやりを示すことが上手
    ・会話が好きで人と喜びを分かち合える

作業療法士は、精神的な不安や傷を負った患者の心情を察して、リハビリに対する患者の気持ちを前向きなものへとサポートしていく仕事です。
そのため、ひとりひとりの患者に合わせたリハビリ内容を考えられる発想力や思いやりが求められます。

身体の状態や患者の能力が回復傾向にあるときは、ともに喜べるような心を持っている人も、作業療法士に向いているでしょう。

医療福祉業界の現状について

医療福祉業界は現在、以下のような医療やチーム医療のあり方についての検討が求められています。

・安全で安心できる医療
・根拠に基づく医療
・質の高い効率的な医療
・患者の視点の尊重

また、チーム医療を提供する51施設を対象に総合医学会が実施したアンケートでは、チーム医療に困難さを感じている施設は44施設(86%)という結果となりました。

一方、チーム医療に困難さを感じていないと回答した施設には作業療法士が3名以上在籍していることが挙げられ、この結果からは、多くの施設で作業療法士をはじめとした専門分野の人材が不足していることがうかがえます。

このようなことから、今後は医療福祉業界で作業療法士を含めた複数職種の需要がさらに高まっていくといえるのではないでしょうか。

作業療法士を目指した志望動機

作業療法士は、リハビリテーションを通じて患者の身体機能や笑顔を取り戻していく仕事です。

作業療法士を目指す人の多くは、過去にケガや事故を負ってリハビリを経験したことがきっかけとなるケースが多いようですが、なかには理学療法士志望から作業療法士へと志望を転向する人もいます。

作業療法士は基本的な生活動作だけでなく社会生活にかかわる動作や精神面のサポートも行うことから、人の生活や人生そのものを変えられる可能性を秘めていることが、志望の動機となりやすいようです。

作業療法士の主な勤務先

作業療法士の勤務先には、以下のような場所があります。

・総合病院
・小児病院
・整形外科病院
・リハビリテーションセンター
・児童福祉施設
・特別支援学校

作業療法士は、身体障がいがある患者のリハビリテーション施設での需要が最も高く、総合病院をはじめとした各種病院で働くことができます。

また、身体障がいのほかには、老年期障がいや精神障がい、発達障がいなどを対象にしたリハビリも行うため、どのような分野で自分の力を発揮したいかを明確にしておくことが重要です。

作業療法士のさまざまな雇用形態

作業療法士の雇用形態には、正社員、パート、契約社員があります。
国立施設など規模が大きな施設では正社員としての雇用が多いようですが、個人クリニックなどの医療施設ではアルバイトやパートでの雇用も行っています。
また、訪問リハビリを行う会社では契約社員としての雇用が多いようです。

そのほか、作業療法士として独立を目指す場合には、以下のような方法で開業することができます。

  • 独立を目指す場合 例)
    ・就労支援施設として開業
    ・セミナー講師として開業、活動
    ・パーソナルトレーナーとして開業
    ・デイサービスとして開業

独立開業を目指す場合、必ずしも実務経験が必要となることはありませんが、自分に向いている分野を見つけるためにも、まずは医療施設や福祉施設で実務経験を積むことが大切です。

作業療法士の男女比

2016年に行われた理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査によると、作業療法士は男性が37.1%、女性が62.9%と、女性が多く活躍している業界です。

また作業療法士の全体の8割以上を20代、30代が占めています。

(監修者:東京都作業療法士会 事務局長 / 中里 武史)