大学・大学院入試 過去問題&受験準備室

大学院の入試問題ってどんな感じなの?という皆さんのために、実際の過去問と解答のポイントを紹介するこのコーナー。
今回は「英語」の試験問題をピックアップしました。大学院の英語の試験は、長文を読ませて全訳または部分訳をさせるパターンが中心。では、その解答のポイントは何か?以下の例題を参考に解説していきましょう!
第1回 今回のテーマ:
英語(長文全訳)編
早稲田大学大学院経済学研究科・
社会人入試<2005年度>より抜粋

【全訳問題例】 (早稲田大学大学院経済学研究科・社会人入試<2005年度>)

問題

次の全文を訳しなさい。
The role of government in the rapid and sustained growth of East Asian NIEs has been one of the most contentious issues among economists. Neo-classical economists maintain that the phenomenal growth of the NIEs can largely be explained by the active role of the private sector and well-functioning market systems. According to them, stable macroeconomic conditions, high rates of savings and investment, investment in education and human capital, and liberalization of foreign t
The alternative ‘development state’ view maintains that without the role of government to induce entrepreneurs to invest in high-risk ventures as well as to compete in international markets with incentives, subsidies, protection and so on, the rapid and sustained growth of the NIES might not have been realized.
(出典:K.S.Jomo ed., Manufacturing Competitiveness in Asia, Routledge Curzon, 2003)

解説 ポイントをチェック

●お試しください!
「問題」の中で、色のついた文字や、太い文字の箇所にカーソルをあわせると、ここだけの解説ポイントが読めます。

大学院の英語はほとんどが専門分野の論文や雑誌等の英文和訳。パターンとしては、この問題のような全文和訳のほかに、下線部訳、要約などがある。社会人入試の場合は、英文の雑誌や英字新聞などから引用されることが多く、内容的には一般入試より取り組みやすい。問題文を読む際に重要なのは早くテーマを把握すること。英文の場合、主題は最初に語られていることが多いので、最初の2〜3行をキーワードとなる名詞に注意しながらしっかり読んで、何をテーマとした文章なのかをつかんでおこう。出典を先にチェックしておくのもテーマの把握に有効だ。訳す際のポイントとなるテクニカルターム(専門用語)には、基本的に訳語は一つしかない。ここで誤訳があると分野への理解が浅いとみなされ、大きなマイナスとなるので注意。全体に、エレガントな訳は特に求められない。多少不細工な日本語でもかまわないので、正確に直訳することを心がけよう。

解答

【全訳例】
 東アジアの新興工業経済地域の急速かつ持続的な成長における政府の役割は、経済学者の間で最も論争を起こす問題の1つである。新古典派の経済学者は、民間部門の積極的役割とよく機能する市場機構とで、新興工業経済地域の驚異的な成長は大部分が説明可能だと主張する。彼らによれば、安定したマクロ経済の状況、つまり、高い貯蓄率と投資、教育と人的資本への投資、そして外国貿易と投資の自由化は、活発な市場による発展を促進する上で重要だった。
 「発展状態」の別の見方はこう主張する。誘因、補助金、保護といったものを備えた国際市場で競争させたり、高いリスクのベンチャー企業に投資するように企業家を誘引する政府の役割がなければ、新興工業経済地域の急速かつ持続的な成長は実現されなかったかもしれない。

(問題例協力 by 河合塾KALS http://www.kals.jp/kouza/daigakuin/ )