STEP4

STEP3で出会ったキーワードで関係する研究科・専攻のカリキュラムをチェック

専門書で得た知識を踏まえてテーマを再検討

ステップ3で、専門書を数冊読み込んだことで、先行研究はどこまで進んでいるか、最新の論点は何かといったことは、ある程度つかめたはず。
ステップ4では、まず、それらを踏まえて、研究テーマを再検討する。「すでに学界では結論が出ているテーマではないか?」「研究テーマとして大ざっぱすぎないか?」「枝葉末節すぎないか?」「専門書で触れられていた隣接するテーマのほうが、より自分のやりたかったことに近いかも……」とあれこれ頭を悩ませてみよう。最低限必要な、その学問分野の枠組みや基礎知識はすでにインプットされているから、考えも整理しやすいはず。
ここでようやく“大学院入学前の段階での”自分なりの研究テーマが決まる。ページ下部の事例で挙げている「研究テーマ・仮」がそれだ。この段階で、自分が師事したい教授、気になる教授も何人かピックアップされているだろう。大学院選びの準備は整った。師事したい教授がいるのなら、その教授が教えている大学院は当然志望校の一つ。一度研究室訪問をして、教授の人柄や研究室の雰囲気をしっかりチェックするのもいい。入試説明会の後に、研究室訪問の時間を設けている大学院もあるので、事前に問い合わせて確かめておこう。

意外な研究科・専攻が自分に合う場合も

ただし、自分の研究の可能性を確かめる意味でも、志望校探しの射程はさらに広げたい。
今、大学院の教育内容やテーマへのアプローチの仕方は実に多様。特定の分野に特化した大学院や学際的な大学院が続々登場しており、自分の研究テーマが、意外な研究科・専攻と接点を持っているケースが十分あるのだ。
自分に合った大学院を見つける際にもステップ3での勉強が役に立つ。書籍を読み込んだ際、自分の研究を進めるにあたって「これは学んでおきたい」「この分野にヒントがあるかも」と思える学問領域がいくつか見つかっているはず。下のBさんのケースでいうと、「臨床心理学」「児童心理学」「幼児心理学」「家族心理学」「児童教育学」「幼児教育学」「児童福祉学」などがそれ。

コース名、科目名を細かくチェックする

これらは研究科名・専攻名となっている場合もあるが、コース名、科目名でヒットすることが多い。気になる大学院があったら、カリキュラムを細かくチェック。この方法なら、自分の研究によりふさわしいカリキュラムの大学院を探すことが可能だ。

研究テーマと関連するカリキュラムの決め方

企業経営と環境が融合した「環境経営」「環境マーケティング」「環境会計」はAさんの研究テーマに直結する学問領域。これらをまとめて学ぶなら、「環境」を全面に押し出した研究科・専攻がふさわしい。一方、もう一つの系統が「企業価値創造」「経営戦略」「CSR論」。これらを軸にするなら、MBAや経営学・商学・経済学系の研究科も候補となる。地元、海外などでの環境活動のあり方にこだわるなら「地域環境共生」「国際環境協力」が学べる大学院を選ぶ道もある。

Bさんの場合、臨床心理士の資格取得を狙うのであれば、対象は臨床心理士指定大学院か専門職大学院に絞られる。ただし、指定大学院にもそれぞれカリキュラムに特色があるので、科目ラインナップや該当領域の教授陣はしっかりチェックしておくべき。「臨床心理学」「発達心理学」といった科目はどこの指定大学院でも核になる科目だが、「家族心理学」「児童福祉学」、さらに教育学系といった科目の充実度は大学院による。そのあたりが大学院選びのポイントになる。

Cさんの研究テーマは、角度を変えたさまざまなアプローチが可能。中国の地域研究を軸にするなら「中国ビジネス研究」「中国経済研究」といった領域が充実している国際系の研究科・専攻が志望校候補。一方、「国際経営」「国際経済」といった大きな枠組みからアプローチする方法もある。また、中小企業ならではの課題に着目するなら「中小企業経営」に強いMBAなども候補。その他、「異文化コミュニケーション」の枠組みで研究することも可能なテーマだ。

「地域産業政策」「まちおこし」といった領域はDさんの研究テーマに直結する。地元商店街再生というテーマは、経済振興に加えて地域コミュニティをいかに再生するかというテーマも含まれているため、「地域コミュニティ論」などの領域からアプローチする方法もある。また、NPOのあり方を中心に研究を進めることも可能。これらの科目は政策系、社会学系などのさまざまな研究科、専攻に設けられている。その他、ビジネスの側からのアプローチもおもしろそうだ。

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