税理士の科目免除が受けられる大学院ガイド(1/2

税理士の科目免除が受けられる大学院の基本情報から入学、学費までを徹底解説

税理士試験の科目免除が可能な法学、経済学、経営学・商学系の研究科や会計大学院。
これらの大学院ではどのような教育が行われているのかを解説!
受験までの準備や試験攻略法などもアドバイスします。

1-1税理士の科目免除が受けられる大学院とは?働きながら履修も可!

税理士試験の科目免除制度と科目免除が受けられる大学院とは

税理士試験には、一定の要件を満たしたうえで大学院(修士課程あるいは博士前期課程)を修了することで、一部の科目が免除となる制度があります。
そのため、科目免除が可能な大学院に進学する税理士志望者は少なくありません。
働きながら学ぶ社会人を受け入れるため、通信制や夜間開講の大学院・専門職大学院も開設されています。

税理士資格と資格試験の概要

税理士資格とは、税務代理、税務書類の作成、税務相談を独占業務とする税務の専門家を認定する国家資格です。
近年では、税務・会計・経営にかかわるコンサルティングを主業務とする税理士も増えています。
税理士法人や一般企業の経理部門などで活躍できるほか、独立開業する税理士も多数います。
税理士試験では科目合格制を採用しており、税法に属する3科目、会計学に属する2科目の計5科目に合格できれば税理士資格が取得できます。
毎年1~2科目ずつ合格を目指す長期プランでの受験に向いているため、社会人のチャレンジが目立つ資格でもあります。

1-2税理士試験の難関「税法」科目が免除!?

大学院修了によって免除の対象となるのは、税理士試験合格に必要な5科目中、税法に属する科目2科目、または、会計に属する科目1科目です。
下記に示すとおり、免除されるための要件はありますが、難関と言われる科目試験すべてに合格するより、大学院での論文の執筆や単位履修でより着実に短期間で合格できる可能性もあります。
また、試験を受けるのは大学院進学前でも修了後でも構いません。

1-3 税理士試験で科目免除されるための要件は?

税理士試験で科目免除を受けるためには、単位の修得と修士論文の執筆・審査認定が必要です。
免除を申請するタイミングは、申請する分野(税法に属する科目または会計学に属する科目)の試験科目のうち、1科目の試験に合格してからになります。

単位の修得

単位については、税法2科目免除を目指す人は税法に属する科目(所得税法や法人税法など)を4単位以上会計学1科目免除を目指す人は会計学に属する科目(簿記論や財務諸表論など)を4単位以上、修得することが必須です。
なお、この4単位には修士論文に関する演習やゼミの単位は含まれないので注意が必要です。

修士論文の執筆・審査認定

大学院で必要な単位を修得したうえで、執筆した修士論文が国税審議会の審査で認定される必要があります。
論文が認定されないケースもあり、大学院での研究や論文への取り組みが科目免除の成否を左右することになります。

論文の内容に関しては、税法、会計学それぞれに税理士法で定められており、税法関連の論文であれば税法2科目が、会計学関連の論文であれば会計学1科目が免除となります。
そのため、科目免除を目的とする人は、税法2科目免除が可能な研究科に進学するケースが多いようです。
なお、3年間で2つの修士号が取得できるコースを設け、3科目免除を目指すことができる大学院もあります。

1-4 税理士試験で科目免除が受けられる大学院の選び方と入試内容

科目免除が可能な大学院の研究科は、原則として、商学研究科または経営学研究科、経済学研究科、法学研究科、会計大学院の4つのジャンル
さらに、専門職大学院である会計大学院も選択肢の一つになります。
研究科を選択する際には、その研究科に税法科目免除や会計学科目免除の対象となる分野を指導できる教授がいるかどうかが肝になります。
どの研究科を選ぶかで、入試対策や在学中の研究、大学院修了後のキャリアなどに大きな違いが出てきます。
税理士になった先に、どんな分野のプロフェッショナルになりたいかを考えたうえで、研究科や専攻を考えるといいでしょう。
大学院の研究科の一般入試は、「書類選考+専門科目+英語+面接」というタイプがスタンダード。社会人入試の場合は、専門科目や英語が課されない場合もあります。

商学研究科・経営学研究科

商学研究科または経営学研究科では、経営や会計など商学・経営学系の科目を履修します。
科目免除を受けるのであれば、修士論文は法律の観点から取り組むことになります。
経営論や組織論を学べるため、税理士になったあとに会計や経営全般のコンサルタントとして活躍したい人におすすめです。
大学院の入学試験においては、専門科目の試験がある場合、会計学や経営学の知識が問われます。

経済学研究科

経済学研究科では、ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学など経済学に関する科目を履修し、財政学の視点から租税論などに関する修士論文を執筆することになります。
また、税法を専門とする教授がいる場合は、法律からアプローチすることも可能です。
大学院の入学試験においては、専門科目の試験がある場合、先述した経済学に関する科目の知識が試されます。

法学研究科

法学研究科では、税法だけでなく、憲法や民法、刑法といった法律科目も履修します。
修士論文で税法について取り上げることもできるため、法律の分野に強い税理士として活躍したい人には適しています。
なお、修士論文では法の解釈や判例研究といった法律からの視点で執筆することになります。
修士論文は、法の解釈や判例研究といった法律からの視点で執筆することになります。
大学院の入学試験においては、専門科目の試験がある場合、法律に関する専門試験が課されます。

会計大学院

会計大学院とは、国際会計や管理会計、監査業務に関して実務に即した知識・スキルを習得できる専門職大学院です。
修士論文で税法関連のテーマを扱う場合は税法2科目、会計関連のテーマを扱う場合は会計学1科目の税理士試験の科目免除が可能です。
公認会計士や税理士、企業の会計担当者、コンサルタントなどを目指す学部卒生のほか、会計分野でのスキルアップ、キャリアアップを目指す社会人も多く学んでいます。
入試は、「書類選考+面接(+小論文)」というタイプが多いですが、専門科目が課される場合もあります。

1-5 税理士の科目免除が受けられる大学院の学費と奨学金

税理士の科目免除が受けられる大学院の学費

国立の大学院は、入学金28万2000円、授業料53万5800円としているところが多いです。
公立は国立に準じる額か、多少安い程度が相場。
私立は大学院によって金額が大きく異なります。
入学金は20~30万円が相場ですが、なかには数万円台というところも。
授業料は年額50~150万円あたりが多く、数万~10万円台程度の施設費などが別途必要になります。

税理士の科目免除が受けられる大学院の奨学金

日本学生支援機構の奨学金が利用できるほか、大学が独自に給付型奨学金を設けているケースもあります。
入学試験の成績優秀者を対象に、授業料の全額または半額を給付する大学院も。
募集人数は数名~十数名が一般的です。
地方自治体や民間団体が設けている奨学金もあるので、幅広く情報収集することをおすすめします。

1-6 税理士の科目免除が受けられる大学院の受験までのスケジュール

大学院入試では、志望校の入試科目によって必要な準備期間が大きく異なります。
そのため、志望校に関する情報収集はできるだけ早めにしておくのがベター。
入試は早いところでは7月ごろにスタートし、秋と年明け1~2月ごろがピークになります。
複数回入試を実施する大学院では、3月にも入試を行うところがあります。

入試の日程を確認したうえで、受験する入試方式(社会人入試か一般入試か)を決め、入試科目を調べます。
英語や専門科目の試験が課される場合は、遅くとも入試の半年程度前には対策を始めておきたいところ。
ただし、これはあくまで学部レベルの基礎知識があることが前提なので、自信がない場合はさらに早めの準備が必要になります。

大学院によっては、書類選考と面接のみという場合もあります。
この場合、それほど準備期間は必要なく、直前の対策でも十分合格をねらえます。
ただし、研究計画書の提出が必要な場合は、入試の3カ月程度前には対策に取り組むようにしましょう。

入試日の1カ月程度前から出願受付が始まります。
それまでに書類をそろえておき、早めに出願し、受験に臨む…という流れになります。

秋入試で不合格でも、まだチャンスはあります。同じ大学院に再度チャレンジするか、第2志望に切り替えるかを判断し、弱点の補強に取り組むなどして目標とする入試に備えましょう。

1-7 税理士の科目免除が受けられる大学院への出願時の主な提出書類

研究計画書

大学院で研究したいテーマ、研究の目的、進め方、スケジュールなどをまとめた書類
研究系の大学院ではほぼ必須ですが、専門職大学院(会計大学院)では求められないことが多いです。

志望理由書、エッセイ

学部で学んだこと(学部卒生)やこれまでの職業経験(社会人)や、その研究科を志望する理由などをまとめた書類
主に専門職大学院(会計大学院)で提出を求められます。
書式はさまざまで、自由に記述するタイプもあれば、質問に答える形式もあります。
文字数は「1200字程度」「1500字程度」「2000字以内」といったパターンが一般的です。

大学卒業(見込)証明書、成績証明書

いずれも出身大学で発行してもらいます。
書類の作成・発行に時間を要する場合もあるので、早めに手配しておくことが大切です。

志願票、履歴書、職務経歴書、推薦書、健康診断書など

そのほかの主な提出書類は、志願票、履歴書、職務経歴書(社会人の場合)、推薦書、健康診断書などです。
志願票以外は大学院によっては提出が不要なものもあるので、事前にチェックしておきましょう。

1-8 税理士の科目免除が受けられる大学院の受験攻略法

研究計画書の攻略法

税理士の科目免除を目標としている場合、それが可能な研究テーマを取り上げる必要があります
また、商学・経営学、経済学、法学、会計大学院のうちどの系統の研究科を目指すかによっても、研究のアプローチは変わってきます。
自分一人で判断が難しい場合は、予備校などで指導を受けるといいでしょう。
いずれにしても、専門書を読み、先行研究を分析して、独自の研究計画をまとめることが求められます。
合格者の研究計画書例なども参考にして書き、繰り返し添削指導を受けてブラッシュアップしていきましょう。

志望理由書、エッセイの攻略法

志望動機、仕事の経験から得たこと、研究したい課題などを記載するという点では、志望理由書もエッセイも基本的に大きな違いはありません
学習・研究への意欲、大学院での研究に必要な知識・能力、文章構成力などが問われているので、それらの点を意識して、抽象的・理念的になりすぎないようまとめることが必要になります。

専門科目の攻略法

法学や経済学は試験範囲が幅広いですが、大学院ごとに出題傾向があるので、過去問を研究し、効率よく対策をすることが重要です。
なお、経営学・商学の専門科目対策には、税理士試験の「簿記論」や「財務諸表論」の勉強が役立ちます。

英語試験の攻略法

大学院によって傾向の違いはありますが、該当する分野に関連する英文を読み、全文和訳や下線部和訳、要約などをするタイプの出題が主流です。
英語の専門用語をしっかりとインプットし、正確に訳せるようにしておくことがポイントです。

面接試験の攻略法

研究計画書や志望理由書に基づいて質問されるので、提出書類の内容はしっかり頭に入れておくこと。
もちろん、書類に書いていないことも聞かれるので、自分の職業経験や今後のキャリアの展望などに関しては、考えをまとめておくようにしましょう。

監修:乾喜一郎  リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)

最終更新日:2022年11月2日

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