1. 大学 大学院トップ
  2. 学問分野別ガイド

MOT(技術経営)ガイドMOT(技術経営)系大学院の基本情報/選び方/学費と奨学金/大学院一覧/提出書類/受験までのダンドリ/試験攻略法

技術と経営の融合をテーマに、テクノロジー系企業の経営戦略や技術開発について実践的に学ぶMOT(技術経営)系大学院。この分野に関する基本情報から、大学院選びのポイント、受験までのダンドリ、試験攻略法までをまとめて解説。気になる人は、全国の主なMOT大学院の一覧もチェックしてください!

MOT(技術経営)とは

日本の技術系企業は世界トップクラスの技術力を誇りながら、それを効率的に利益に結びつける点で世界に後れを取るケースが多く、グローバル市場での競争力を高めていくうえで大きな課題となっています。そこで注目されているのが、「技術と経営の融合」に特化したビジネススクールであるMOT(技術経営)。

ジャパンパワーに押されていた80年代のアメリカで誕生した学問分野で、日本でも2003年の専門職大学院の登場以降、次々と開設されていきました。また、MBA系のビジネススクール、修士課程の経営学研究科や工学研究科などにMOTコースを設ける大学院も2000年代に増加しました。

経営戦略、人事・組織、マーケティングなどMBAと共通する経営に関する科目に加えて、技術戦略、研究開発マネジメント、プロジェクトマネジメント、知的財産戦略、イノベーションなど、技術を経営に活かすための科目も充実。また、環境、エネルギー、バイオ、ナノテクノロジー、ITなど技術分野別のビジネス戦略に関する科目も揃っています。大学院によっては技術そのものもしっかりと教育するところもあり、MBA系のビジネススクールと比較すると理系的要素も強いのが特色です。

対象としているのは、技術を経営に活かすための理論や実践力を養いたい経営人材と、経営に関する理論や実践力を養いたい技術者・研究者、さらに、イノベーション人材としての資質を磨きたい学部卒生です。社会人学生の場合、MOTで練り上げたアイデアを自社で実践する例も多く、今すぐに役立つ知識・スキルが得られる大学院といえます。

MOT大学院の選び方

MOT大学院選びのポイントの一つは教育内容です。ひとくちに技術経営といっても、総合的にバランスよく学べる大学院もある一方、「リスクマネジメント」「サービスイノベーション」「システム安全」「ライフサイエンス」「ICT」「中小企業の技術経営」「地域産業の技術経営」といった特定のテーマを強く打ち出している大学院も少なくありません。自分が学びたいテーマを明確にしたうえで、カリキュラムをじっくり比較しましょう。経営学に基盤を置く大学院なのか、工学に基盤を置く大学院なのかという点も要チェックです。また、一部、英語で授業を行う大学院や留学生を多数受け入れている大学院も。同時にグローバルスキルを磨きたい人は、この点にも注目しておきましょう。

夜間開講や週末開講、サテライトキャンパス、1年制プログラムなども整備されている分野なので、働きながら学びたい社会人は、「通いやすさ」の観点からの比較も重要。

このほか、学生がほぼ社会人なのか、学部卒生も多いのかといった学生層についても確認しておきたいポイントです。

MOT大学院の奨学金

日本学生支援機構の奨学金が利用できるほか、大学が独自に給付型奨学金を設けているケースも多いです。入学試験の成績優秀者を対象に授業料の全額または半額を給付する大学院も。募集人数は数名~十数名が一般的です。このほか、地方自治体や民間団体が設けている奨学金もあるので、幅広く情報収集することをお勧めします。

MOT大学院一覧

国立
山形大学大学院 理工学研究科 ものづくり技術経営学専攻【山形】
東北大学大学院 工学研究科 技術社会システム専攻【宮城】
東京大学大学院 工学系研究科 技術経営戦略学専攻【東京】
東京農工大学大学院 工学府 産業技術専攻【東京】●※専門職
東京工業大学大学院 環境・社会理工学院 技術経営専門職学位課程 イノベーション科学系【東京】●※専門職
北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科/情報科学研究科 iMOSTコース【東京】●
横浜国立大学大学院 環境情報学府 環境イノベーションマネジメント専攻【神奈川】
新潟大学大学院 技術経営研究科 技術経営専攻【新潟】●※専門職
名古屋工業大学大学院 工学研究科 産業戦略工学専攻【愛知】●
長岡技術科学大学大学院 技術経営研究科 システム安全専攻【新潟/東京】▲※専門職
京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 デザイン経営工学専攻 技術経営コース【京都】●
大阪大学大学院 経済学研究科 経営学系専攻MOTコース【大阪】
山口大学大学院 技術経営研究科 技術経営専攻【山口/広島/福岡】▲※専門職
九州大学大学院 経済学府 産業マネジメント専攻【福岡】●※専門職
公立
産業技術大学院大学 産業技術研究科 創造技術専攻【東京】●※専門職
私立
芝浦工業大学大学院 工学マネジメント研究科 工学マネジメント専攻【東京】●※専門職
東京理科大学大学院 イノベーション研究科 技術経営専攻【東京】●※専門職
日本工業大学大学院 技術経営研究科 技術経営専攻【東京】●※専門職
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科【東京】●
早稲田大学ビジネススクール 大学院経営管理研究科【東京】●※専門職
慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科【神奈川】
静岡理工科大学大学院 理工学研究科【静岡】
名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科【愛知/東京/大阪】▲
立命館大学大学院 テクノロジー・マネジメント研究科【大阪】●
京都情報大学院大学 応用情報技術研究科 ウェブビジネス技術専攻【京都/札幌/東京】●※専門職
同志社大学大学院 ビジネス研究科 同志社MOTコース【京都】●※専門職

●夜間開講あり

▲週末開講あり

MOT大学院受験までのダンドリ

大学院入試では、志望校の入試科目によって必要な準備期間は大きく異なります。そのため、志望校に関する情報収集はできるだけ早めにしておくのがベター。入試は早いところでは7月頃にスタートしますが、時期は大学院によってまちまち。秋と年明け1~2月頃にピークがありますが、複数回入試を実施する大学院では3月にも入試を行うところがあります。

そのうえで、受験する入試方式(社会人入試か一般入試か)を決め、入試科目を調べます。英語や専門科目試験が課される場合は、遅くとも入試の半年程度前には入試対策を始めておきたいところ。

大学院によっては、入試が書類選考と面接のみという場合もあります。この場合はそれほど準備期間を必要とはしません。直前からの対策でも十分合格を狙えます。ただし、研究計画書の提出が必要な場合は、入試の3カ月程度前には対策に取り組むようにしましょう。

入試日の1カ月程度前から出願受付が始まるので、それまでには書類を揃えておき、期間中の早めの段階に出願。いよいよ受験となります。

秋入試で不合格でも、まだチャンスはあります。同じ大学院に再度チャレンジするか、第二志望に切り替えるかを判断し、弱点の補強に取り組むなどして目標とする入試に備えましょう。

MOT大学院受験出願の際の主な提出書類

研究計画書

大学院で研究したいテーマ、研究の目的、進め方、スケジュールなどをまとめた書類。研究系の大学院ではほぼ必須ですが、専門職大学院では求められないことが多いです。

志望理由書、エッセイ

それまでの職業経験(社会人の場合)、その大学院を志望する理由などをまとめた書類。専門職大学院などで提出を求められます。書式は大学院によって異なり、自由に記述するタイプもあれば、質問に答える形式も。文字数は「1200字程度」「1500字程度」「2000字以内」といったパターンが一般的です。

大学卒業(見込)証明書、成績証明書

いずれも出身大学で発行してもらいます。書類の作成・発行に数日を要する場合もあるので早めに手配しておくことが大切です。

TOEFL(R)テストなど語学検定のスコア

大学院によっては、英語の試験の代わりにTOEFL(R)テスト、TOEIC(R)テスト、IELTSなどのスコアの提出が求められます。早めに複数回受験してスコアアップを図っておきましょう。

志願票、履歴書、職務経歴書、推薦書、健康診断書など

そのほかの主な提出書類は、志願票、履歴書、職務経歴書(社会人の場合)、健康診断書などです。志願票以外は、大学院によって提出の必要があるものもないものもあるので、事前にチェックしておきましょう。

MOT大学院受験の試験攻略法

働きながら学ぶ社会人を対象としているMOT大学院の場合、専門職大学院、修士課程ともに「書類選考+面接」「書類選考+小論文+面接」というタイプの入試が目立ちます。また、修士課程には「書類選考+専門科目+英語+面接」というタイプの入試もあり、理系の研究科では理系の専門科目が課されます。なお、社会人入試なら専門科目や英語が課されない場合があります。

研究計画書の攻略法

研究計画書は、提出が求められる場合には、合否に大きく影響する書類です。

合格に近づく研究計画書を作成するポイントは、先行研究を踏まえたうえで、実際に研究したいテーマやコンセプトを明確にすること。業務に関連して進学をめざすのであれば、実務経験と関連のある研究テーマを設定するといいでしょう。

まずは、興味のあるテーマに関して先行研究の文献をリサーチするところから対策を始める必要があります。ただし、学術系の論文などを書き慣れていない人の場合、適切な文献探しから苦労することも多いので、早い段階から予備校などで指導を受けたほうがベター。構成のポイントなども指導してもらえます。合格した研究計画書の例などを参考にしつつ、繰り返し添削指導を受けてブラッシュアップしていきましょう。

志望理由書、エッセイの攻略法

志望動機、仕事経験から感じたこと、研究したい課題などを記載するという点では、志望理由書もエッセイも基本的に大きな違いはありません。ともに、学習・研究への意欲、大学院での研究に必要な経験と能力の有無、文章構成力などが問われているので、その点を意識して、抽象的・理念的になりすぎないようまとめることが必要となります。

面接試験の攻略法

研究計画書や志望理由書に基づいて質問されるので、提出書類の内容はしっかり頭に入れておくことが大切。もちろん、書類に書いていないことも聞かれるので、自分の職業経験や今後のキャリアの展望などに関しては考えをまとめておくようにしましょう。研究計画に関するプレゼンテーションが求められる大学院もあるので、志望校の面接の内容は募集要項で確認しておきましょう。