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専門職大学院ガイド

専門職大学院とは?一般大学院との違い、メリット、学べる分野、目指せる資格、学費までをわかりやすく解説!

専門職大学院とは「現場で活躍するプロフェッショナル」の養成に特化した大学院。スキルアップを目指す社会人も多数学んでいますが、一般大学院とはどう違うのでしょう?
そこで専門職大学院で学ぶメリット、開設されている分野や教育の特色、どんな資格を目指せるのか、まとめて解説します!

1専門職大学院とは

専門職大学院(専門職学位課程)とは、「高度専門職業人の養成」を目的とした大学院の課程のこと。
科学技術の進歩や社会・経済のグローバル化など急速な変化に伴い、学術的な理論と実務スキルの両方を備えたプロフェッショナル人材の育成のニーズが高まり、2003年に創設されました。
2021年度には全国で117校が開校しています。
その分野は法律、会計、経営や教育、知的財産、情報技術、ファッションビジネスなど、多岐にわたっています。
いずれの分野も、高度で専門的な知識と能力を備えた高度専門職業人の養成に特化した教育を行い、現場に即したスキルの習得に主眼を置いたカリキュラムとなっています。
修了すると、それぞれの専攻課程独自の専門職学位を取得できます。例えば法科大学院なら「法務博士(専門職)」、会計専門職大学院なら「会計修士(専門職)」という具合になります。

社会人必見!働きながら学べる専門職大学院も

専門職大学院は、現場で活躍中の職業人に高度な知識と技術を習得させるために、継続的な学習機会を提供する役割も担っています。
そのため社会人を主要な対象としている学校が多く、要チェックです。
ちなみに文部科学省の調査によると、専門職大学院の在籍者のなかで、社会人が占める比率は52.9%にもなっています(2021年5月現在)。
社会人が働きながら学びやすくなるよう、各専門職大学院ではさまざまな制度を設けています。例えば次のような制度です。

平日夜間や土日に授業を実施。

社会人が仕事と学習を両立しやすくなるよう、勤務時間に配慮した授業開講時間を設定しています。

サテライトキャンパスを開設

勤務を終えた後に無理なく受講できるよう、都心などにサテライトキャンパスを設置するなど、遠隔授業の体制を整えています。

短期コースを設定

専門職大学院の標準修業年限は2年(法科大学院は3年)ですが、一定以上の実務経験者などを対象にした短期コース(1年コースなど)を設けている学校もあります。

長期履修制度

仕事や育児などの事情により、標準修業年限で修了することが困難な社会人を対象にした制度。あらかじめ申請する必要がありますが、標準修業年限2年のところが3年になるなど、履修期間を延長できます。
この制度を利用する場合、履修期間が延びても授業料は標準修業年限分で済むケースがほとんどで、留年してしまった場合に比べると、学費が節約できることになります。

さまざまなメディアを活用して授業を実施

インターネットを活用した授業や、講義資料の配信、講義の録画視聴など、教室以外の場所でも受講できるシステムを設けている学校もあります。

このように、専門職大学院には、社会人が働きながら学習を続けやすい制度がそろっているので、志望校選びの際に確認してください。

専門職大学院と大学院修士課程の違いとは

専門職大学院と、大学院の修士課程との大きな違いは、設置の目的にあります。
学校教育法(第99条)では「大学院及び専門職大学院の目的」として、次のように定めています。
「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奧をきわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする。」
そして、第99条第2項では、専門職大学院をこう定義しています。「大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を担うことを目的とするものは、専門職大学院とする」
つまり、一般の大学院は文化の発展を目指して学究的な研究活動を行う「研究者」の養成機関であるのに対し、専門職大学院は、「高度で専門的な職業能力をもつ職業人」を養成する機関なのです。
仕事の現場で活躍するプロフェッショナルを育てることが専門職大学院の目的とあって、教育を行う分野は法律、会計、経営など、実務スキル習得に重きを置いた「実学」。
専門性の高い職業能力を得ることができるカリキュラムで、学究的な知識を得ることを主眼とします。
また、修士論文が必ずしも必修ではないことも一般大学院とは大きく異なるポイントです。
授業の方法も実習や事例研究、ワークショップ、フィールドワーク、ロールプレイング、シミュレーションなど実践的な教育方法中心であることや、実務経験が豊富な実務家教員を一定割合以上、配置していることなども専門職大学院の特徴です。

修士課程と専門職学位課程との比較

表:修士課程と専門職学位課程との比較 画像を拡大する

表出典:「大学院修士課程と専門職大学院との制度比較」
「専門職大学院制度の概要」(文部科学省)をもとに作成

専門職大学院のメリット、デメリット

大学院修士課程との違いから見えてきた、専門職大学院のメリットをまとめてみました。

メリット1

その職業分野の第一線で活躍する実務家教員から教育を受けられる

その分野で活躍中の実務家教員から最前線の知識や技術を教われるという貴重な経験ができることは、専門職大学院で学ぶ醍醐味です。理論的な考察をもとに実務スキルを学ぶことができ、理論と実務を架橋した教育を受けることができます。
メリット2

実践的な授業内容

双方向、多方向に行われるディスカッション、質疑応答などを基本にしている授業で、分析力、思考力などに磨きをかけることも可能になります。
メリット3

資格取得を目指せる

専門職大学院を修了すると、難関資格の試験を受験する資格が得られたり、試験の一部科目が免除されるといったメリットがあります。
メリット4

修士論文作成が必須ではないため、実践ノウハウの習得に集中できる

修了要件に論文作成が課されないかわりに報告やケーススタディ作成などにより、仕事と両立をはかりながら、より実務スキルの習得に集中できるでしょう。
メリット5

人脈ができる

専門職大学院は同じ業種で働く人が受講していたり、コースによっては異業種の社会人学生が大勢学んでいます。
そうした多様な社会人学生とつながりができるのは、何物にも代えがたいこと。
今後のキャリアを築いていくうえでも、専門職大学院で培われた人脈は力になってくれるでしょう。

このように多くのメリットがある専門職大学院。
あえてデメリットを挙げると、一般大学院と同様に学費が高額で出費がかさむことと、修了まで期間を費やさなければならないということでしょう。
しかし、専門職大学院は、これまでの業務経験や研修などではカバーしきれない多くのことを吸収できる教育機関。
お金と時間の問題を解決して学び続け、キャリアアップやキャリアチェンジに結びつけている社会人も大勢います。

2臨床心理士専門職大学院

心の問題を抱える人に対し、臨床心理学に基づいた専門知識と技術で援助を行う臨床心理士の養成を目的としています。
心の問題の複雑化、多様化に対応できるよう、最新の理論や技法を学べるほか、特徴は実習が充実していること。
一般の臨床心理士指定大学院よりも実習時間数が多く設定されています。
附属の臨床心理センターなど学校独自に学内実習機関を備えているほか、医療・保健、福祉、教育、司法・矯正、産業領域など、学外のさまざまな現場で臨床経験を積むことができ、高い実践力を身につけることができます。
働きながら学ぶ社会人にとっては、多くの実習があることで仕事との両立に工夫が必要になりますが、臨床心理士は実践を抜きにしては成り立たない専門職。
臨床心理士専門職大学院での実習経験は、今後のキャリアの土台にもなるでしょう。

目指せる資格

臨床心理士

臨床心理士の資格試験を受験できるのは原則、大学院修士課程修了者のみ。
受験資格に規定されている大学院は第一種指定大学院、第二種指定大学院、臨床心理専門職大学院の3種類で、第一種指定大学院と臨床心理専門職大学院は実務経験なしで受験できます。
臨床心理士専門職大学院の場合はさらに、一次試験筆記試験の論文記述試験が免除されるというメリットがあります。

公認心理師

大学で所定の科目を履修して卒業後、臨床心理士専門職大学院に入学して指定の科目を履修することで、国家資格である公認心理師の受験資格を得られます。

修了後の主な活躍フィールド

臨床心理士専門職大学院の活躍フィールドは多岐にわたっています。

医療・保健
病院の精神神経科、心療内科や、地域の保健所、精神保健福祉センターなど。
福祉
児童福祉施設、知的障害者施設、女性相談センター、老人福祉施設など。
教育
小学校、中学校、高校などのスクールカウンセラー、教育相談機関の相談員など。
司法・矯正
家庭裁判所、少年鑑別所、少年院、刑務所、科学捜査研究所など。
産業・労働
企業内のメンタルヘルス相談室、ハローワークなど。
その他
臨床心理士が開業する心理クリニック、臨床心理学の研究機関など。

3法科大学院

法科大学院(ロースクール)とは、法曹三者とよばれる裁判官、検察官、弁護士を養成する専門職大学院。
21世紀になって進められた司法制度改革の一環で法曹養成制度の見直しが行われ、2004年に開校したのが法科大学院です。
法学教育の基本を踏まえながらも、社会のニーズに合わせた専門的な知識を学べるのはもちろんのこと、弁護士や元裁判官などの実務家教員による授業を通して応用力や実務能力を養うことができます。
また、ソクラテスメソッドと言われる対話型の授業方法の導入、外部の法律事務所や官公庁などで実務経験を積むインターンシップやエクスターンシップなども取り入れ、法曹に求められる思考力や実践力を身につけていきます。
法科大学院に設けられている課程は、大学の法学部卒業者などを対象とする2年制の既修者コースと、法学の初学者を対象にした3年制の未修者コースの2つ。
法学部出身者でなくても基礎から理論と実務を学べる
ので、これまでに多くの社会人が学び、法曹の仕事への転身を果たしています。

目指せる資格

司法試験

裁判官、検察官、弁護士になるには司法試験合格が必須で、法科大学院を修了することで修了後5年間、5回まで司法試験の受験資格が得られます。
また、2023年からは法科大学院の最終学年であれば司法試験を受験できる「在学中受験」の制度もスタートするので、1年でも早く司法試験に挑戦したい社会人にとっては朗報といえそうです。
そのほか司法試験の受験資格を得るには予備試験を受験して合格する方法もありますが、予備試験は合格率が例年3~4%ほどと狭き門で、司法試験受験者の多くは法科大学院修了者が占めています。

修了後の主な活躍フィールド

法科大学院は司法試験合格だけが目的の教育機関ではなく、理論から実務まで、法律にかかわる高度な専門職業人を育成する大学院です。
修了すると裁判官、検察官、弁護士の法曹三者としての活躍のほか、一般企業の法務部、行政機関の法務担当者などの道も開かれています。

4会計大学院

会計分野のプロフェッショナルを養成する会計大学院(アカウンティングスクール)。
21世紀に入り、グローバル化などによる会計制度の変化に対応でき、会計の側面から経営戦略の意志決定にもかかわれる人材の育成を目指し、専門職大学院制度の創設当初から開設されてきました。
最先端の国際会計や管理会計、財務会計、監査業務など、実務に即した専門知識やスキルを習得することができます。
公認会計士など資格取得を目指すコースも設けられていますが、単なる資格試験対策ではなく、ITへの対応力、理論を実践的に応用できる思考力や判断力まで養うことができるのは会計大学院の特徴です。
少人数教育によるワークショップ、会計事務所や監査法人などでのエクスターンシップなど、現場の業務を経験できるのもポイント。
社会人が学ぶ場合には自分が身を置いてきた業種の知見を強みに、会計エキスパートとしてステップアップすることも可能になるでしょう。

目指せる資格

公認会計士

会計大学院で一定の科目を履修して修了し、申請をすると、公認会計士試験の短答式試験4科目のうち、財務会計論・管理会計論・監査論の3科目が免除されます。

税理士

所定の科目を履修して単位を修得し、修士論文を作成して学位を取得すると、申請により、税理士試験の科目免除を受けられます。
免除されるのは、税法2科目または会計学1科目。

このほか、米国公認会計士、数理業務の専門スキルを認定するアクチュアリーといった資格を目指せるコースをもつ会計大学院もあります。

修了後の主な活躍フィールド

公認会計士や税理士、企業の会計担当者、経営・財務コンサルタント、公務員(国税専門官など)など。

5教職大学院

専門職大学院のなかで最も多く開設されている分野が教職大学院。
全国的に拡充が進み、2021年度には54の大学で開設されています。
今、教育現場では生徒・児童の学ぶ意欲の低下やいじめ、不登校、教員の長時間勤務の問題など、さまざまな課題を抱えています。
そうしたなか、教職大学院では学校現場と密着した教育を行い、高い教科指導力、学校・学級運営能力、リーダーシップ、豊かな人間性を備えた教員の養成を目指しています。
カリキュラムは事例研究、授業観察・分析、フィールドワークなどが導入された実践的な授業を中心に構成され、最新の理論と指導スキル、さらには教員の業務改善などスクールマネジメントの専門スキルを習得することもできます。
教職大学院のほとんどが現職教員や、教員免許状を取得していながら教職経験のない新卒学生や社会人を対象としたコース設定となっていますが、教員免許を取得していない一般社会人を対象にしたコースを設けている大学院もあります。
教員への転身を考えている社会人の選択肢になり得ると言えるでしょう。

目指せる資格

教員免許(専修免許状)

教員免許の一種免許状を取得している人が教職大学院を修了すると、教育学系の修士課程と同様、専修免許状を取得できます。
なお、一部の教職大学院では、入学時に教員免許をもっていない人を対象に、3年間で一種免許状と専修免許状の両方を取得できるコースを設けています(校種は小学校など。大学院によって異なります)。
また、小中一貫教育が推進されているという流れを受けて、小学校または中学校の教員免許状を追加で取得できるプログラムを用意している教職大学院もあります。

修了後の主な活躍フィールド

教職大学院で教育を受けることによって実務能力の向上がはかれるので、幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校の教員として活躍の幅を広げていくことができるでしょう。
現場でリーダー的な役割を担うことも可能になります。

6そのほかの専門職大学院

ここまでに紹介した分野の専門職大学院のほか、さまざまな分野の専門職大学院があります。

ビジネス・MOT

経営戦略や組織行動、ファイナンス、マーケティング、生産管理などの科目を設け、経営分野のリーダーを養成する経営大学院。
そうしたビジネス分野の専門職大学院のなかで、技術経営(MOT:Management of Technology)に特化しているのがMOT大学院です。
先端科学技術や情報技術の専門知識をもち、企業の製品やサービス、経営戦略として活用することができる人材の育成を目的としています。

ビジネス・MOTの大学院修了後に目指せる進路

企業で経営企画、先端技術戦略といった部署での活躍や、CEO候補、社内ベンチャーの立ち上げ、スタートアップ企業(新たなビジネスモデルを開発する企業)の起業など。

公共政策大学院

課題発見、分析・評価、立案など、公共政策に関する総合的な能力を備える人材の養成を目的とした専門職大学院。
政治、経済、政策、国際関係などの枠を超えて分野横断的に広く実践的なカリキュラムとなっています。

公共政策大学院修了後に目指せる進路

国家公務員、地方公務員、国際機関の職員として政策立案に従事するほか、地域再生などに取り組むNPO、シンクタンク、NGO(非政府組織)など。

公衆衛生大学院

健康の維持・増進、病気の予防などに関して、指導的な役割を果たす人材の養成を目的としています。
カリキュラムは各校で異なりますが、疫学、生物統計学、臨床疫学、健康医療政策学、環境産業保健学、健康危機管理学などの科目から構成され、公衆衛生分野の高度な専門職業人の育成をはかります。

公衆衛生大学院修了後に目指せる進路

省庁、自治体など行政機関の保健医療施策に関する立案担当者、製薬会社や臨床検査機器メーカーなどの健康管理専門家、アドボカシー(※)などに携わる保健医療アナリストなど。
医療現場で働く医師や看護師、保健師などが、公衆衛生の専門技能を生かして活躍の幅を広げている事例もあります。
※アドボカシ―とは、社会的に弱い立場にある人の生命や権利などを擁護して代弁すること。

これらのほかにも知的財産、デジタルコンテンツ、情報技術、福祉マネジメント、ファッションビジネス、ビューティビジネス、原子力など、専門職大学院の分野は多種多様です。

7専門職大学院の学費と奨学金

専門職大学院の学費

国立の大学院は、入学金28万2000円、授業料53万5800円としているケースが多いです。
公立は国立に準じる額か、多少安い程度が相場。
私立は大学院によって金額が大きく異なります。
入学金は20~30万円が相場ですが、なかには数万円台というところも。
授業料は年額50~150万円あたりが多いですが、180万円クラスの大学院もあります。
そのほか。数万円~10万円台程度の施設費などが別途必要となります。

専門職大学院の奨学金

専門職大学院は、大学・研究科が独自に設けている給付型奨学金が比較的充実しています。
入学試験の成績優秀者を対象に授業料の全額または半額を給付するといった制度の導入が目立ち、募集人数は数名~十数名が一般的です。

なかでも、法科大学院は奨学金制度や授業料減免制度は年々充実傾向にあります。
最近は、収入面での制限を設けず、かつ入学者の大半が該当する規模で、授業料の全額・半額免除制度を導入する法科大学院や、奨学生枠の入試で選抜された学生を対象に授業料全額免除に加えて毎月の奨学金を給付する法科大学院も登場。
これに準ずるような制度も含め、奨学金・学費減免制度拡充の取り組みは広がりを見せています。

専門実践教育訓練給付の対象となる専門職大学院も

専門実践教育訓練給付は、国の教育訓練給付制度のひとつ。
「受講開始日現在、雇用保険の被保険者期間が2年以上あること(初めて制度を利用する場合)」などの条件を満たす人が、資格取得やスキルアップのために厚生労働大臣指定の講座を受講した場合、年間最大56万円、2年間で最大112万円、3年間で最大168万円が戻ってくる制度です。
MOT、教職大学院、法科大学院など、指定講座となっている専門職大学院も数多くあるので、進学予定の社会人は、志望校が該当するかどうか確認しておきましょう。
なお、教育訓練給付制度は、自費で負担した学費の一部が後から戻ってくる制度。入学手続き時に支給があるわけではないので注意が必要です。

8専門職大学院のQ&A

「専門職」の学位は、一般大学院の修士と同等の位置づけになりますか?
日本ではあまり一般的ではないですが学位に基づいて報酬が指定される制度をもつ企業においては、大学院修了として同様に扱われることが多いです。
一方で、研究者を目指して博士課程への進学を目指す場合は同等とはいえず、学会や学術論文の発表を目指すのであれば、別途トレーニングの上アカデミックスキルの獲得が必要となります。専門職大学院は研究者養成を主眼としておらず、修士論文も課されないため、博士課程への進学を考えている場合には、一般大学院修士課程と同様のステップにはなりにくいという面があります(専門職大学院から博士課程への進学は不可能ではなく、一部ですが進学例もあります)。
修士課程にもMBAなど実務能力養成に力を入れたプログラムがありますが、専門職大学院との違いは?
強いて挙げれば、修了要件として修士論文が課されているかいないかという点です。
ただし、専門職大学院でも一部に修士論文を課すところはあるので、これも一概には言えません。
MBAなどを中心に、研究と同時に実務能力の養成に重点を置いている修士課程も多数あり、その場合、専門職大学院と、教育の方向性に関して大きな違いはないと考えていいでしょう。
ただし、法学系の場合、専門職大学院である法科大学院とそれ以外の研究科では、教育内容ももちろんですが、司法試験の受験資格を得られるか得られないかという点で明確な違いがあります。
教職大学院も、研究系の教育学研究科とは明確に教育の方向性が違います。
分野によって傾向が異なるので注意が必要です。
興味のある科目だけを履修することは可能でしょうか?
多くの専門職大学院では、一部の科目を学べる「科目等履修生」の制度があります。
科目等履修生として修得した単位は、正規学生として入学した際に単位として認定され、その単位数に応じて授業料の減免を受けられる制度をもつケースも少なくありません。
長期間かけて無理なく学び、仕事の状況をみはからって入学試験を受けて合格、正規学生になるという方法で、社会人が仕事との両立をはかりながら専門職大学院の学位取得を目指すことが可能になるでしょう。
ただし、科目等履修生の入学選考審査の内容、履修できる科目や単位数の制限、正規学生になった際に認められる単位数の上限など、各校で制度が異なります。
詳細は、志望校のホームページで確認してください。

9専門職大学院の試験攻略法

専門職大学院の入試は、働きながら通う社会人学生を積極的に受け入れている大学院が多いこともあり、入試の負担が軽い傾向があります。
「書類選考+小論文+面接」「書類選考+面接」など、語学や専門科目を課さない大学院も多いので、進学を思い立ったタイミングであまり準備期間がなかったとしても十分チャレンジが可能です。

一方、法科大学院の既修者コースなど、一部では専門科目が課されるので、その場合には、ある程度対策のための期間が必要。
ただし、現職教員が教職大学院を受験するケースのように、業務と専門科目の関連性が高ければ、それだけ対策期間も短縮できます。

監修:乾喜一郎 リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)

最終更新日:2022年3月30日

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