早稲田大学 人間科学部 eスクール(通信教育課程)
人がより良く生きるために、「人間」という視点から環境・健康福祉・情報を見つめなおす。
可部 明克
専門分野は健康福祉産業学(経営論/ロボット工学/ネットワーク) 。タッチパネル・音声・視覚などの手段を用いて被介護者とコミュニケーションを取りながら要望に応えるロボットの開発や、介護・福祉用ロボット・IT機器をネットワーク接続し、被介護者・介護関係者・その他関連部門で情報を共有するための仕組みについて研究を進めている。
菊地 真実
2005年早稲田大学人間科学部eスクールに入学、現在早稲田大学大学院 人間科学研究科にて、緩和医療学を学んでいる。現在薬剤師として勤務しており、在宅医療のあり方、さらに在宅医療への薬剤師の関わりについて研究を深めている。仕事と家庭を両立しながら、さらなる学びに挑戦している。
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モノ中心の社会から人間を見つめなおす社会へそんな今だからこそ、人間科学を学んでほしい。
――まずは可部先生に――人間科学を学ぶ意義とはなんでしょうか。

可部先生 例えば、産業に関して言いますと、20世紀は大量生産・消費を行ってきた「物質文明」の時代、と言えるでしょう。しかし、便利さを求めた結果、温暖化現象などの環境問題により、人の住む環境が脅かされることになったことは否めません。そして、21世紀。それまでの消費型社会から、サスティナブル(持続可能)な社会へと産業構造も変わろうとしています。これからの産業は「人間とそれを取り囲む環境」へ目を向けはじめました。また、これからの高齢化社会に向け、長い人生をより良く人間らしく生きるか、といったことも重要な研究課題となるでしょう。今後の社会の重要課題である「人間がより良く生きる」ということをテーマに、多方面から様々なアプローチで学ぶ。これが人間科学を学ぶ大きな意義であると考えています。

――それでは菊地さんはなぜ、人間科学を学ぼうと思ったのですか?

菊地さん はい、私は現在薬剤師の仕事をしているのですが、医薬分業が進み、薬局でも患者さんと直接お話する機会が増えたんですね。かつては正確に調剤して、薬を渡して終わりだったのですが、実際にお話するようになって「錠剤を飲めない方に、どうやって薬を飲んでいただくか」「患者さんの“痛い”という声を、どのように受け止めていくべきか」などに興味が出てきまして、それで大学で臨床心理学を学ぼうと思い、早稲田の人間科学部を選びました。とはいえ、この問題は心理学的アプローチはもとより、生理学、福祉といった様々な視点で考えることができるんです。一つのことを「人間」という観点から見つめなおしたときに、文理の垣根を超えて学べる「人間科学」を選んだからこそ、気づけたことなんでしょうね。
▲2人が見ているのが、可部先生とそのゼミ生が開発した介護用ロボットToccoちゃん。「じゃんけんしよ」「グーしかだせないんだった」といった会話で相手を笑わせるなどの機能を持つ。こうした行動を通し、高齢者の脳の活性化を図る。こうした工学を学べるのも人間科学ならではだ。
社会人のキャリアステップの一環として、eスクールを利用してほしい。
――お二人に伺います、社会人の方がeスクールで学ぶメリットは何ですか?

可部先生 経験的に積み重ねた知識を体系化して学ぶことで改めて消化し、加えて新しい分野を学び、過去の経験と融合する。これができるのが、社会人の方の強みです。人間科学部は、いわば人間をテーマとした「新しいサイエンス」。さらに早稲田自体、学科・学部の枠を超えて学ぶ機会も多い大学。新しい分野に触れる機会も多く出てくるので、その強みは存分に活かせると思います。

菊地さん 私もそう思います。それに職業も、年齢も違う方と一緒に学ぶことで、もっと広い視野で物事を考えることができますよね。「この方とこの方が一緒に研究したら、とても良い研究ができるんじゃないかな」って(笑)。

可部先生 2つの違うものが合わさり、新しい何かが生まれる。これは新しいビジネス構築がなされる状況と同じですよね。分野の融合が学問の上でも新しい効果をもたらす。もちろん幅広い知識を持つ「ジェネラリスト」としてだけでなく、ご自分の専門分野を深めるために他分野を学んでいき「スペシャリスト」として活躍する道も目指せます。
現在は市況感もあいまって社会人の流動化が進んでいます。キャリアアップの手段も、今までの単線型だけでなく、キャリアチェンジによる成功例なども多く見られるようになりました。こうした時代だからこそ、仕事をしながら次のキャリアに向け新しい分野を勉強し、自分の強みにする為に、是非eスクールを利用していただければと思います。
▲“ネット環境さえあれば、どこにいても学べるのも魅力”と語る菊地さん。ストリーミングの講義は一週間単位に更新。その間であれば何度でも視聴が可能だ。自分の時間が空いた時に、授業が受けられる。社会人の学びのサポートとなることは間違いない。
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熱いコミュニケーション、それが早稲田流。eスクールでもそれは全く同じ。
――eスクールの魅力とは何でしょうか?

菊地さん 在学生同士、色々な形でコミュニケーションがたくさん取れる点ですね。例えば講義ごとにBBSが設置されていて、授業後に質問や感想などが書けるようになっています。その他にもホームルームBBSもあって、私も色々書きこんでいたんですよ。そこにまた返信がつけられていると、「あ!返信があった!」って嬉しくなりましたね。
あと、ゼミなどで実際に他の在学生の方と会えるのは嬉しいですよね。私は通える距離にいるので、ゼミでスクーリングがあった時にも無理なく参加することができたのですが、中には海外にいらっしゃる方もいるので、なかなかいらっしゃれない方もいます。そうした場合は、その方が一時帰国する際に、「じゃあこのタイミングでゼミを開きましょう」と先生のほうからご提案いただくこともあるんです。

可部先生 教授によっては、例えば出張で地方にいく機会があったときに、その近くの学生を集めて親睦会をして、その中で研究の話や相談にのっている人もいます。頻繁にはできないのですが、北海道に住む学生さんの所へ行って、直接研究の相談にのることも。
加えて、早稲田の学部生と同じくeスクールの学生も、仕事や住む場所が違っても、みんなで集まって親睦を深めたりすることが多いんです。いろいろ相談もするし、腹を割って話す。誤解を恐れずに言えば、泥臭い(笑)。それは教授陣にも言えるかもしれませんね。他の人との交流の中で、モチベーションを高めあったり、さまざまな知識や人脈を身につけたりしていくのも、早稲田生ならではです。
▲各講義のBBSには、学生からの書き込みが多数ある。質問や相談に関しては、「教育コーチ」が随時サポート。時には教授陣も直接対応してくれる手厚い体制だ。ホームルームBBSでも、仲間同士が交流を深めている。「ネット上でのコミュニティ形成は勉強になることが多い」と菊地さんは語る。
編集部の視点
環境問題や高齢化社会…世の中の流れが利便性だけでなく「人間が長く、より良く生活できる」という視点を持ち始めるようになった。「人間」をテーマにすることで、新しいビジネスが誕生するかもしれない。「人間」をテーマにすることで、新たな経営手法が誕生するかもしれない。人間科学は環境・健康福祉・情報などを専門に学ぶ人だけでなく、新規事業開発など、より高度なビジネスパースンを目指す人にも学ぶ価値のある学問ではなかろうか。それが自宅で学べるのだから、尚更だ。
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