先輩たちがあなたの素朴な疑問に答えます「社会人学生のホンネ」CAFE

今月のテーマ「家族・会社の理解」

学ぶことで人生変わる?お金はどのくらいかかる?仕事との両立って実際どうなの?どんな人と知り合える?などなど、大学院に通おうと思っている社会人の皆さんはいろんな疑問や不安を抱えているはず。そんなときは、経験者に聞くのがイチバン!そこで社会人学生の先輩たちに素朴な質問を投げかけてみた。先輩たちの生の声を是非参考にしてみよう。

回答してくれる先輩たち

東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科 総合科学技術経営専攻(MOT) 栗山 克(よくす)さん(34歳)日本教育大学院大学 学校教育研究科学校教育専攻 武田保明さん(32歳)一橋大学 国際・公共政策大学院 公共経済プログラム 社会人1年課程 酒井信行さん(26歳)


Q1.大学院進学について家族の反対はありましたか?

武田さん :
私は独身なんですが、年金暮らしの両親と暮らしていて、進学前は家計を支えていました。ですから、教員を目指すために会社を辞めて日本教育大学院大学院に進学したいと両親に話したときにはさすがに困惑していましたね。
酒井さん :
一橋大学国際・公共政策大学院に進学するにあたって、監査法人を辞めるか休職にするかといったことは父親にも相談しました。もちろん、退職したら保険はどうする?次のキャリアはどうする?といった話はありましたが、父自身も以前ビジネススクール進学に関心を持っていたことがあって、大学院進学に関しては理解がありましたね。

Q2.家族には大学院進学についてどう説明しましたか?

武田さん :
両親に歓迎されないことは覚悟していたので、説得には1年くらいかけました。これはもうプレゼンテーションみたいなものだと思って(笑)、事前にどうすれば教員になれるのか情報を収集して、両親に資料を提示しながら、社会人を対象にした教員になるための大学院があること、非常勤講師の仕事もあることなどをじっくりと説得しました。最終的には「自分で決めたなら思うようにしなさい」と言ってもらえましたね。
酒井さん :
自分が将来的には地方自治体など公共部門へのアドバイザリー業務に携わりたいと考えていること、そのために大学院でちゃんと勉強したいことをきちんと話しました。これまでのキャリアを投げ捨てるのではなく、キャリアを積み上げていくためのステップだということはわかってもらえました。

Q3.大学院通学を続ける中で、家族に対する配慮は?

栗山さん :
平日は週に3日、仕事が終わった後に大学院に通っています。7時限目が終わるのが9時40分ですから、帰宅するのは10時、11時。土曜日も朝から夕方まで大学院にいます。家族と一緒にいられる時間は減っているので、日曜日は家のことをするようにしています。ただ、2年になるとゼミの論文があるので来年はどうなるか…。

Q4.大学院進学にあたって会社にはどう話しましたか?

酒井さん :
監査法人ではプロジェクトで仕事を進めているので、進学が決まった今年2月、当時のプロジェクトリーダーに内々に伝えました。ただ、ほかにお世話になっていたマネージャーもいたので、話をする順番は悩みましたね。もっとうまくできなかったかと後悔しています。昼間の大学院なので、最初は退職するつもりだったのですが、その後、人事から話があって「大学院修了後にパブリックセクター(公共部門)へ異動するというのはどうか?」と打診され、部門異動を含んだ休職ということにしてもらいました。
栗山さん :
個人的にMOTには関心を持っていて、会社にMBA派遣に関しては制度があったものですから、MOTがその制度の対象になるのかどうか人事に問い合わせたことがあったんです。ひょっとしたらその件が関係していたのかもしれませんが、その後、会社から企業派遣でMOTに通ってみないかという話が来たので、本当にラッキーでしたね(笑)。話がなければ自費で通おうかと思っていたくらいですから。ただ、学費を出してもらっているプレッシャーはありますよ、やっぱり。具体的にどうと言われているわけではないですが、期待されているだけのものはやはり会社に還元しなくてはいけませんからね。
武田さん :
時間的余裕がなかったので退職の意志を伝えたのは大学院に入学する直前。引き継ぎなどもあって実際に辞めたのは入学後でしたね。上司からは「常識的に考えて、年齢的にもここで会社を辞めるのはよくないよ」と言われました。同僚はいろんな意味で「すごいな、おまえ」と言ってました(笑)

Q5.大学院に通うことを職場の仲間は理解してくれている?

酒井さん :
監査法人は日本版SOX法の適用を控えてタダでさえ忙しい時期。私が休職することで一緒にやっていた同期に一気に負担がかかるので、彼には申し訳ないことをしたと思っています。実際、「もっと前に言ってくれ。こっちも覚悟する必要があるのに」と責められました。最近やっと仲直りしたんですよ(苦笑)。ただ、人材の流動化が進んでいる業界なので、後輩たちは「がんばってくださいね」という反応でしたね。
栗山さん :
企業派遣ですし、もともと学ぶことには理解がある環境なので、上司や職場の仲間からは「大変だけどがんばってくださいね」と応援してもらっています。ただ、定時を過ぎてからものすごい量の仕事を任されることはなくなったものの、基本的な仕事の量は減っていないですね。仕事は仕事、大学院は大学院ですから(笑)

先輩プロフィール

栗山 克(よくす)さん(34歳)
東京理科大学大学院
総合科学技術経営研究科
総合科学技術経営専攻(MOT)
栗山 克(よくす)さん(34歳)
セントラル硝子(株)
人事部

プロフィール

慶應義塾大学理工学部化学科卒業、同大学大学院理工学研究科化学専攻修了。同大学院修了後、1997年にセントラル硝子に入社。6年半の研究職を経て開発営業職に異動。今年2月に人事部に異動。今年4月から企業派遣で東京理科大学MOTに進学。現在1年目。

大学院に進学した理由

以前から多様なものの見方を身につけるため、MOTに興味があった。ただし、直接的な理由は会社から企業派遣の話があったから。

進学してよかったこと・苦労したこと

授業や教授、同級生との交流を通して期待通りいろいろな視点を持てるようになった。最初はレポート作成の要領がわからず苦労した。

武田保明さん(32歳)
日本教育大学院大学
学校教育研究科学校教育専攻
武田保明さん(32歳)

プロフィール

音楽系の専門学校(4年制)を卒業後、佛教大学社会学部に進学し、中学校の社会科、高校の公民科の教員免許を取得。卒業後は音楽指導者を経て運輸会社に就職。教員を目指すため、この春退職し、日本教育大学院大学へ。

大学院に進学した理由

中学、高校で吹奏楽部の指導に携わるなかで、教員になりたい気持ちが強くなった。知識・指導スキルを強化するため大学院へ。

進学してよかったこと・苦労したこと

よかったのは同じ目的意識を持つ仲間と高めあっていけること。苦労しているのは授業についていくため予習・復習が欠かせないこと。

結城邦博さん(39歳)
一橋大学 国際・公共政策大学院
公共経済プログラム 社会人1年課程
酒井信行さん(26歳)
監査法人勤務(休職中)
公認会計士

プロフィール

慶應義塾大学総合政策学部在学中から公認会計士を目指し、卒業の翌年に2次試験合格。その後監査法人に就職(現在は休職中)。今年4月から一橋大学国際・公共政策大学院公共経済プログラム(社会人1年課程)に進学。

大学院に進学した理由

将来的には公共部門のアドバイザリー業務に携わることが目標。そのために必要な経済に関する知識を強化したかった。

進学してよかったこと・苦労したこと

よかったのは、いい仲間と出会えたこと。ただ、めまぐるしく変化している監査業務の現場から離れている点は不安材料の一つ。