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臨床心理/心理学ガイド(2/4

臨床心理士の資格取得にかかる費用や大学院の選び方を解説! 臨床心理学が学べる大学・大学院のまとめ

社会人が臨床心理学を学びたい、臨床心理士の資格を取得したいと考えたときに、気になるのが費用。また、何を基準に大学院を選ぶべきかも、悩ましいところ。
本記事では、臨床心理士の資格取得までにかかる費用に加え、大学院の選択基準になるポイントと失敗しない選び方について解説します。
併せて、そのほかの心理系大学院や通信制大学の選び方もアドバイス。全国の臨床心理士指定大学院・専門職大学院の一覧も掲載します!

2-1臨床心理学が学べる大学院の学費

臨床心理士の受験資格を得るためには、大学卒業後、臨床心理士指定大学院もしくは専門職大学院を修了する必要があります(第2種指定大学院は、修了後に1年以上の実務経験が必要)。
つまり、大学院の学費はマスト。費用は、国公立か私立かによっても異なります。

国公立大学院の学費

国立の大学院は、入学金28万2000円授業料53万5800円(年間)としているところが多く、公立の大学院は国立に準じる額か、多少安い程度が相場です。

私立大学院の学費

私立は大学院によって金額が大きく異なります。
入学金は15~20万円程度が相場で、授業料は年額50~70万円あたりが中心です。
そのほか、数万円~10万円台程度の施設費などが別途必要になります。

奨学金

大学院生を対象にした奨学金もあります。
メジャーなのは日本学生支援機構の奨学金
業後に返済が必要な貸与型で、無利子の第一種と利子付きの第二種とがあります。
第一種(修士課程)は月額5万円か8万8000円、第二種は月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選択します。
学力や家計状況の審査がありますが、社会人学生でも利用可能です。返済は卒業後(貸与が終了した月の翌月から数えて)7カ月めからスタートします。
そのほか、募集人員は少ないですが、大学院や自治体、民間団体などが設けている奨学金もあるので、幅広く情報収集することをおすすめします。
出願時に申請が必要なケースや、制度ごとに併用の可・不可もあるので、早めに情報を集めてプランを立てておくことが大切です。

2-2臨床心理士になるための費用

臨床心理士になるためには、大学院の学費に加えて、大学院受験のための予備校に通う費用(通う場合のみ)や資格試験の受験費用(必須)などがかかります。

資格試験や登録にかかる費用

臨床心理士の認定試験を受けるためには、受験料や登録料などの費用がかかります。
認定試験の受験申請書類の請求に1500円資格審査料として3万円が必要です。
さらに、試験に合格して臨床心理士として登録する際には、登録料として5万円が必要になります。
なお、一次試験、二次試験とも試験会場は東京のみ(令和3年度実績)なので、遠方に住んでいる場合には、交通費や宿泊費もかかります。

高卒の場合にかかる費用

高卒の人が臨床心理士を目指す場合は、まずは大学を卒業しなくてはならず、その分の学費もかかります。
大学の学部は必ずしも心理学系である必要はありませんが、大学院進学を見据えて心理学を学ぶのがおすすめです。
国公立大学であれば、学費は学部にかかわらず、卒業までの4年間で250万円前後です。
私立大学の場合は4年間で400万円~600万円程度が一般的とされていますが、大学や学部によって大きく異なるので、事前によく調べておきましょう。
働きながら大学卒業を目指す場合は、通信制大学を選ぶのもいいでしょう。

心理学以外の大卒者が心理学を学んだあとに大学院を目指す場合にかかる費用

他学部卒の場合は、いったん心理学系を学び認定心理士を得て大学院に臨むことを選ぶ人も多いです。
その場合、1年次から通う必要はなく、通信制大学に3年次・4年次から編入する方法もあります。
また、必要な費用は大学や履修する科目によって異なりますが、初年度納入金の相場は10万円台~30万円台といったところです。

大学院入試のために予備校に通う場合の費用

臨床心理士指定大学院や専門職大学院の入試は倍率が高くなりがちです。
しっかりと対策をしておかなければ合格は難しいため、予備校に通う人も少なくありません。
予備校の学費は学校や受講数によって大きく異なります。
平均的には数10万円ほどですが、なかには100万円以上かかるケースも。もちろん独学も可能なので、よく検討しましょう。

費用を安く抑える方法

臨床心理士になるための費用を安く抑えるには、通信制の大学・大学院を活用するのも手。
特に、心理学系の大学を卒業したうえで臨床心理士指定大学院を目指す際、通信制大学への編入学制度を利用すれば、費用も安く、また働きながら目指すことも可能です。
さらに、臨床心理士指定大学院のなかには、東京福祉大学、佛教大学(第一種)、放送大学(第二種)といった通信制課程をもつ大学院もあるので要チェックです。

2-3心理学系大学・大学院の選び方

臨床心理士指定大学院の選び方

全国には多数の臨床心理士指定大学院があり、教育内容には共通する部分があるものの、やはりそれぞれに特徴や個性があります。
チェックポイントとなるのが教員の顔ぶれです。臨床心理士の活躍の場は非常に幅広いため、教員のキャリアも多様です。
大学院ごとに「医療系に強い」「教育系に強い」「福祉系に強い」といった傾向があるので、事前にリサーチしておきましょう。
気になる教員に関しては、著書や論文を読んで理解を深めておくことをおすすめします。
同じ分野で複数の教員の文献を読み比べ、考え方や方向性にどのような違いがあるのかを比較検討すると、大学院選びの参考にもなるはずです。
また、臨床心理士指定大学院では、2年次になると臨床心理実習に多くの時間を割くようになります
実習先は、大学院と提携している病院、福祉施設、学校などの場合もあれば、キャンパス内に設けられている心理相談センターなどの場合も。大学院によって実習の環境や内容が変わってくるので、この点もよく調べておきましょう。
そのほか、仕事をしながら通いたい人は、夜間開講の大学院や通信制大学院という選択肢もあります。
まだ数は少ないですが、通えるエリアにキャンパスがあれば、専門職大学院も候補になります。専門職大学院の特徴は、修士論文を課さず、その分、実習を中心とした実務能力の養成に力を入れていること。
修了すると、臨床心理士試験一次試験の論文記述試験が免除されるというメリットもあります。

そのほかの心理系大学院の選び方

臨床心理学は学びたいが、臨床心理士の資格取得を目指しているわけではない…という場合には、大学院の選択肢が広がります。
心理学の分野や研究内容は多岐にわたり、同じ分野でも学派の違いによって研究の方向性に違いがあることも。
大学院を選ぶ際は、「どんな教員がいるか」という視点を大事にしましょう。
例えば、犯罪心理学や災害心理学といった分野に興味がある場合、どこの大学院にも専門の教員がいるとは限りません。
まずは分野を絞り、その分野の学術誌や論文などに目を通し、活躍している研究者(教員)をチェックする…というステップで、志望校を探していくといいでしょう。

通信制大学の選び方

心理学系の大学院で学ぶためには、大学を卒業する必要があります。
高卒の方、また心理系以外の学部を卒業した大卒の方のなかには、通信制大学の心理学科などを選ぶ方も少なくありません。
その場合のチェックポイントの一つが、スクーリング(学校での対面授業・指導)の有無や充実度
例えば、カウンセリングなどの科目は対面授業で学びたいという人は、スクーリング科目のラインナップや充実度を調べてみましょう。
また、とにかく必要な単位を効率的に修得したいという場合は、スクーリングが少ない(通信だけで学べる)大学を選ぶという方法もあります。

監修:乾喜一郎  リクルート進学総研主任研究員(社会人領域)

最終更新日:2022年2月28日

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